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◯◯しないと出られない部屋

***

「目、閉じててね」

みおが言うと百鬼丸は素直に頷いて、目を閉じた。彼は見えないので、目を開いていようが閉じていようが同じ。だが、みおの気持ちの問題なのだった。

彼女もまた目を閉じて、踵を少し上げた。

ほんの一瞬、唇と唇が触れた。

うなじにじんわりと甘い痺れを感じた。目を開けると、彼もまた目を開き、そして義手の指先で自身の唇をなぞった。

西日が差し込んで橙色に染まった部屋に響くのは、物悲しげなヒグラシの鳴き声ばかりである。

「えっ」

いつの間にか、二人は元いた本堂に。

「……っ!?」

そして、本堂の入り口には子供達が勢揃いして、二人を見ていたのだった。

「あんた達、いつからそこに……」

みおが震え声で尋ねると、

「ずっとだよ」

どろろが答えた。

夕日に負けないくらい、みおの顔は真っ赤になった。そんな彼女の顔をちょっと屈んで覗いた百鬼丸は、

「みお、とる、せきにん」

と呟いて、ふふっと笑ったのだった。

(おわり)



襖の百みおは『キスしないと出られない部屋』に入ってしまいました。
180分以内に実行してください。


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