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百鬼丸からお土産

夜中、みおはふと目が覚め、小さくくしゃみをした。被っていた上衣はいつの間にかどこかへ行ってしまっていた。肩に重みを感じる。そこに載せられていた細い棒状のものに触れると、手は強い力で跳ねのけられた。年季の入った杖のように滑らかなそれは、どろろの引き締まった向う脛だったのだ。

横になったまま、なるべく音を立てないように手探りで上衣を探していると、ごそごそと音がして誰かがこちらに近付いてきた。目を開けると、思いの外間近に百鬼丸の顔があった。




こんな寒さの中でも寝相の悪い子供達は、みおと百鬼丸が手分けして寝相を正し上衣をかけ直したので、ぐっすりと眠っている。

みおはというと、百鬼丸が部屋の隅に敷き直した莚に横になり、彼と二人で上衣を共有している。百鬼丸が片膝を浮かし促したので、みおは彼の腿の間に脚を挟み込んだ。そして彼の二の腕に頭をそっと載せる。百鬼丸は空いている方の手でみおの両手を掴むと、彼の懐に差し入れた。


明日になれば、百鬼丸はまたどろろと二人で旅に出てしまう。残された時間を惜しむように、彼はみおを抱き寄せた。みおは彼の鼓動を指先に感じながら、眠りに落ちた。






(おわり)
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