みおにお土産
久しぶりに全員が揃った夜は賑やかで、さて寝ようとなると、子供達はこぞって百鬼丸の隣に寝ようと争うのだった。見た感じは細っこい百鬼丸だが、大人の男らしく体温が高めなのである。
「重い……苦しい……」
百鬼丸の首から足首まで、あらゆる箇所が子供達の枕となってしまう有様だ。いつもはみおにしっかり抱きついて眠る、孤児仲間最年少のちびっ子でさえ、今夜は百鬼丸の脇に顔を埋めて寝ている。どろろは百鬼丸を中心としたひと塊から少し離れた所で、みおにひっついて眠りに就いた。
夜中、どろろは自分のくしゃみで目を覚ました。なんだか思ったよりも寒いのである。夜更けと共に寒さが増したばかりではない。いつの間にか、隣がもぬけの殻であった。
あれ、みお姉は?
ちょっと顔を上げると、暗闇の中に二つの目がきらりと光った。タケ坊である。どうやらタケも寒くて目が冴えてしまったらしい。
どろろは音を立てないようにタケの側まで這っていった。みおだけでなく百鬼丸までいない。子供達は百鬼丸が寝ていた辺りに折り重なって、すやすやと寝息を立てていた。
みお姉とあにきは?
どろろは視線でタケに問う。
あっち。
タケは、皆から離れた部屋の隅を、視線で指す。
そちらを見れば、百鬼丸とみおが二人だけで寄り添い合って眠っているのだった。
「みお姉だけあにきを独り占めとか、ずりぃよなぁ」
タケがこっそりと囁いた。
「いやいやいやいや、そういうことではなくてだな」
どろろは囁き返した。そして二人のことを目を凝らしてよく見るのだった。みおが被っている着物の柄は、どうやら百鬼丸の上衣のものである。
「やれやれ、お優しいことで」
どろろは「お前もさっさと寝ろ」とタケに言い、子供達の塊にくっついて目を閉じた。
翌朝、百鬼丸は「身体じゅうがバキバキだ」とぼやいた。起きてみれば、子供達は全員無意識のうちに暖を求めて転がり、百鬼丸とみおのところへ集結していたのである。
「そんなんで今日また出掛けられんのかい?あにき」
どろろが百鬼丸の肩を揉みながら訊くと、
「行くさ。冬に備えて稼がないと……」
あくびまじりに百鬼丸は応えた。
(おわり)
「重い……苦しい……」
百鬼丸の首から足首まで、あらゆる箇所が子供達の枕となってしまう有様だ。いつもはみおにしっかり抱きついて眠る、孤児仲間最年少のちびっ子でさえ、今夜は百鬼丸の脇に顔を埋めて寝ている。どろろは百鬼丸を中心としたひと塊から少し離れた所で、みおにひっついて眠りに就いた。
夜中、どろろは自分のくしゃみで目を覚ました。なんだか思ったよりも寒いのである。夜更けと共に寒さが増したばかりではない。いつの間にか、隣がもぬけの殻であった。
あれ、みお姉は?
ちょっと顔を上げると、暗闇の中に二つの目がきらりと光った。タケ坊である。どうやらタケも寒くて目が冴えてしまったらしい。
どろろは音を立てないようにタケの側まで這っていった。みおだけでなく百鬼丸までいない。子供達は百鬼丸が寝ていた辺りに折り重なって、すやすやと寝息を立てていた。
みお姉とあにきは?
どろろは視線でタケに問う。
あっち。
タケは、皆から離れた部屋の隅を、視線で指す。
そちらを見れば、百鬼丸とみおが二人だけで寄り添い合って眠っているのだった。
「みお姉だけあにきを独り占めとか、ずりぃよなぁ」
タケがこっそりと囁いた。
「いやいやいやいや、そういうことではなくてだな」
どろろは囁き返した。そして二人のことを目を凝らしてよく見るのだった。みおが被っている着物の柄は、どうやら百鬼丸の上衣のものである。
「やれやれ、お優しいことで」
どろろは「お前もさっさと寝ろ」とタケに言い、子供達の塊にくっついて目を閉じた。
翌朝、百鬼丸は「身体じゅうがバキバキだ」とぼやいた。起きてみれば、子供達は全員無意識のうちに暖を求めて転がり、百鬼丸とみおのところへ集結していたのである。
「そんなんで今日また出掛けられんのかい?あにき」
どろろが百鬼丸の肩を揉みながら訊くと、
「行くさ。冬に備えて稼がないと……」
あくびまじりに百鬼丸は応えた。
(おわり)
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