何度話しても
結果俺が死んだとして、躯がどんなに嘆こうが俺を呪おうが、知ったことではないと思った。所詮、俺にとってこの命は、大して価値のないものなのだ。
後悔に打ちひしがれながら生き永らえるよりはいっそ、あいつと心中する方がマシだ。
躯、俺は確かにまだ弱い。死に方を求めるのには早いのかもしれない。しかし、幽助という目標を失ったら、一体何の為に生きるべきなのか、俺はどうしても解らない。
きっとこの気持は、何度語って聞かせても、お前に理解させることは出来ないのだろうな。
俺は躯に請われて何度も幽助の事を話したが、肝心なことはついに、伝わらずじまいだったように思う。しかしだからこそ、俺はこうしてあっさりと、躯の事を、絶ち切ってしまえるのだろう。
後悔は、ない。
「時間だ。よし……やるぜ」
幽助が傍らにうずくまる霊界獣に言った。
全てが終わるまで、遂にあと一分を切った。
コエンマが懐中時計を仕舞い、腕を組んだ。
あとわずか数十秒後には、俺達は死んでいるのかも知れないというのに、心は妙に平静だった。
こんなものか、死に臨むという事は。
異次元砲爆発まで、あと10秒。俺は目を閉じた。
9、8、7、6……
「畜生ーーッ!!」
幽助が突然叫んだ。
「あっちが神なら、こっちは、女神だ!!!」