このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

何度話しても


結果俺が死んだとして、躯がどんなに嘆こうが俺を呪おうが、知ったことではないと思った。所詮、俺にとってこの命は、大して価値のないものなのだ。

後悔に打ちひしがれながら生き永らえるよりはいっそ、あいつと心中する方がマシだ。

躯、俺は確かにまだ弱い。死に方を求めるのには早いのかもしれない。しかし、幽助という目標を失ったら、一体何の為に生きるべきなのか、俺はどうしても解らない。

きっとこの気持は、何度語って聞かせても、お前に理解させることは出来ないのだろうな。

俺は躯に請われて何度も幽助の事を話したが、肝心なことはついに、伝わらずじまいだったように思う。しかしだからこそ、俺はこうしてあっさりと、躯の事を、絶ち切ってしまえるのだろう。

後悔は、ない。

「時間だ。よし……やるぜ」

幽助が傍らにうずくまる霊界獣に言った。

全てが終わるまで、遂にあと一分を切った。
コエンマが懐中時計を仕舞い、腕を組んだ。
あとわずか数十秒後には、俺達は死んでいるのかも知れないというのに、心は妙に平静だった。

こんなものか、死に臨むという事は。

異次元砲爆発まで、あと10秒。俺は目を閉じた。

9、8、7、6……

「畜生ーーッ!!」

幽助が突然叫んだ。

「あっちが神なら、こっちは、女神だ!!!」

2/4ページ
スキ