偶像の花

 電報。
 晴れ。
 シンクに鉢が落ちていました。あっけないですね。
 失敗作の人生など、こんなものでしょうか。どうでもよいと思うのです。大学、アルバイト、花、あなたのこと。そのすべ て。
 何もかもうまくいっている世界があるのですから、このくだらない人生のことなどは、もうどうでもよいのです。
ビャクランという、あの不敵な男に会ってみたい。このまま無為に生きるくらいなら、私は世界の敵になりたい。
 あなたは軽護するでしょうか。構いませんよ。
「私」を見れば、あなたもその方がよいと言うでしょうからね。
 ああ、久しぶりに大空が見えます。
 こんなに晴れているのですから、傘を差す必要はありません。私も大手を振って、空の下を行きます。
 何もかも、もうどうでもよいのです。
 花、あなたのこと。この世界のすべて。
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