残されたのはアメジスト【完結済】

 カルメは尚も号泣し続ける青年をイオニアの隣に座らせた。状況がわからないといったふうのカペラはとりあえずカルメの隣に座ったままだが、所在なさげにカルメとイオニアを交互に見つめている。

「あー、その、なんだ。まずは泣き止もうぜ」
 カルメが不器用に声かけをした。イオニアがいつものように出したコーヒーも、飲まれる気配はない。
「こういうのは急かしちゃいけないよ。プラシオさんが落ち着くまで待とう」
 落ち着き払ったイオニアが言う。その後ろで、カペラがおずおずと片手を上げた。

「あ、あのさ。何がどうなってこうなったの……?」
 カペラにしてみれば、友人の家で朝食を楽しんでいたらいきなり謎の男が泣きながら突撃してきたのだ。意味がわからないのも無理はない。そういった彼女の戸惑いを汲んで、カルメは青年が落ち着くまでの間に昨日の出来事を語った。
「ああ、それはだな……」
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