残されたのはアメジスト【完結済】
「はーい完成。俺のオリジナルブレンドのコーヒーと一緒に召し上がれ」
「げ。いつの間にか探偵所に色んな種類のコーヒー豆が増えてたのはそういうことかよ」
しばらくしてカルメ達の目の前のローテーブルに置かれたのは、出来立てのエッグベネディクトにハニートーストと湯気の立つコーヒーカップ。
「何これおいしー!」
カペラは早速イオニア特製エッグベネディクトに舌鼓を打っている。手早くエプロンを外したイオニアもカルメ達の向かいのソファに座り、幸せそうにハニートーストへかぶりついた。
「いいじゃんいいじゃん。コーヒー豆も道具も全部ちゃんと自分で買ってるんだし」
「確かにお前がバイト代を何に使おうが勝手だけどな、元はと言えばそれって僕が出した金なんだぞ? なんかこう……『僕の』金のおかげで『僕の』家に『他人の』私物が増えてくのって複雑というかなんというか……」
「え〜? 俺とカル兄は他人じゃなくて従兄弟じゃん」
「そういう意味じゃなくてだなぁ……」
悪びれもせずニコニコと言いのけるイオニアに向かって——実際何も悪いことではないのだが——カルメは何とも言えない、渋い顔でコーヒーをすする。少々酸味の混じった苦みを甘いハニートーストで中和しようとパンをひっつかんで口へ運ぼうとした瞬間、がらんごろんと探偵所のドアベルが暴れ出した。
「えっ、何事!?」
イオニアが驚く。口いっぱいにハニートーストを詰め込んだカルメが慌てて玄関へ向かうと、そこには目を真っ赤にした青年が立っていた。
「カルメさあああん!! 助けてくださああああい!!」
「げ。いつの間にか探偵所に色んな種類のコーヒー豆が増えてたのはそういうことかよ」
しばらくしてカルメ達の目の前のローテーブルに置かれたのは、出来立てのエッグベネディクトにハニートーストと湯気の立つコーヒーカップ。
「何これおいしー!」
カペラは早速イオニア特製エッグベネディクトに舌鼓を打っている。手早くエプロンを外したイオニアもカルメ達の向かいのソファに座り、幸せそうにハニートーストへかぶりついた。
「いいじゃんいいじゃん。コーヒー豆も道具も全部ちゃんと自分で買ってるんだし」
「確かにお前がバイト代を何に使おうが勝手だけどな、元はと言えばそれって僕が出した金なんだぞ? なんかこう……『僕の』金のおかげで『僕の』家に『他人の』私物が増えてくのって複雑というかなんというか……」
「え〜? 俺とカル兄は他人じゃなくて従兄弟じゃん」
「そういう意味じゃなくてだなぁ……」
悪びれもせずニコニコと言いのけるイオニアに向かって——実際何も悪いことではないのだが——カルメは何とも言えない、渋い顔でコーヒーをすする。少々酸味の混じった苦みを甘いハニートーストで中和しようとパンをひっつかんで口へ運ぼうとした瞬間、がらんごろんと探偵所のドアベルが暴れ出した。
「えっ、何事!?」
イオニアが驚く。口いっぱいにハニートーストを詰め込んだカルメが慌てて玄関へ向かうと、そこには目を真っ赤にした青年が立っていた。
「カルメさあああん!! 助けてくださああああい!!」