消印のない手紙【完結済】

【幕間2:お嬢様の恋路】

 なぜサリムがまだ接点の少ないアイセルをこれほどまでに気にかけているのか?というのはもっともな疑問だろう。実際ヴォルターがホテルで同じ問いかけを投げかけたところ、彼女はいつもと打って変わってしおらしくなり小さな声で呟いた。
「ひ、一目惚れ……だったのよ……」
 ヴォルターがそのサリムを見て仰天したのは言うまでもない。
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