短文置き場
現パロルゾロ
2023/11/19 15:22海賊
https://plus.fm-p.jp/u/fumie/diary/article?id=32&bid=2
↑これと同じ設定
疲れ切ったからだを薄っぺらい布団に横たえると、すぐに眠気はやってきた。剣道をするために入った大学は、借金返済のためのバイトのために登校時間を削らねばならず、日本一の目標がかなり危うい状態になっている。それを歯がゆく思う権利すら、今の自分には無いのかもしれなかった。
もっと割の良いバイトを探さなければ、と思いながらそれができていないのは、おそらくは気力が削られているからなのだろう。もし、自分が女ならば、とゾロはぼんやりと思った。楽に稼ぐ術があるのだろうか。
周囲の人間には恵まれているつもりだったし、だからこそ目標のために努力だってしているつもりだった。同じ武道でも世界各国で盛んになった柔道と違い、剣道は結局日本がいちばん強く、世界大会で優勝しているのもほとんどが日本人だ。日本一になれば世界一にもなれる競技で、おれはてっぺんを取るのが夢だった。だから就職先も剣道を続けられる警察や刑務所を希望していたのだ。実際、高校卒業の頃に地元警察がスカウトに来たことだってあった。それを中学日本一、高校日本一も取ったなら大学日本一も取りたいと欲をかいた結果がこれだ。
いや、おれは自分の判断は自分で責任を持つと決めている。だから、いまのこの状態も飲み込むべきなのだろう。
借金とは、返す約束をした上で借りるモンだ。そんなことは原始時代から決まっていて、約束を反故にしたなら償いをしなければならない。
だが、その償いがこんなことになっているのは、ひとえに約束をした相手が悪かったのだろう。
生まれて初めて、後悔というものをしている。ゾロはいっそ自重の笑みさえ浮かべながら眠りについた。
は、と目を開ける。人の気配だ。家賃の安さだけが取り柄のアパートで、防犯が甘いことは理解していた。それでもゾロはそこらのこそ泥に負ける自分など想像もつかなかったので、なにも気にしたことはなかった。それでも、鍵くらいはしめて寝たはずだが。ゾロは眉を寄せて自分のうえにのしかかっている男を見上げようとした。未だ朝を迎えていない時間なのか、部屋は薄暗い。だが、知っている気配だ、とゾロは思った。相手は、「お」と声を上げた。
「起きた」
聞き覚えのある声だった。このところ、借金取りたての名目でゾロにつきまとっている少年――、ルフィである。顔に傷があることを除けばどう見ても年齢相応か、むしろそれ以下にすら見えるような天真爛漫な笑みを浮かべるくせに、彼は正しく反社会的勢力の一員なのだった。
「てめ、何してやがる……!」
ゾロはルフィをねめつけたが、ルフィはどこ吹く風だ。
「おれ、この部屋の合鍵作っちまったから。そのお知らせに来た」
「はァ!?」
睡眠時間は短いはずなのに、眠気が一気に飛んでいく。ゾロは眉を寄せた。どのように、と問い詰めたかったが、社会の秩序から外れた相手にするべき質問でもないような気がする。――まさか大家を脅しでもしたのだろうか。
疲労と寝起きでうまく回らない頭で、それでもゾロはルフィを押し退けようとした。だが、ルフィはまったく意に介さずに、ゾロの着ている古びたTシャツを勢いよく捲り上げた。
「ゾロのからだ、やっぱかっけーな!」
「……ッ」
やはりこいつの一挙一投足、まるで読めない。ゾロが歯噛みしている間に、ルフィの人差し指が胸を大きく横切る傷跡をなぞる。思わず息を飲むと、ルフィはしし、と小さく笑った。
「ゾロはこれ気に入らねェのか?」
「気に入るワケ、ねェだろ」
事故でついたそれは、ゾロに借金を負わせた直接の理由である。これさえなければこんな奴に出会わずに済んで、おれは剣道に邁進できたはずなのだ。ところがルフィはふぅん、と相槌を打ったあと、ぐっと身を乗り出した。彼の顔が目の前に来て、ゾロは思わず目をそらす。
「おれは好きだぞ、これのおかげでゾロと“約束”できた!」
「ア、?」
「ゾロはもう、逃さねェからな」
「逃げるつもりなんざねェが、おれは……、」
「サツに入りてェから離れろ?」
「わかってンじゃ、ねェか」
ゾロは今度こそ少しだけ上半身を起こし、ルフィを押し退けた。ルフィは大人しくどいてやる。ゾロは乱れていたシャツを直して、ルフィを見上げる。
「じゃあさっさと借金返さねェと。おれたちのところで働こう!」
この前からそんな誘いを受けているが、反社会的勢力のもとで働くなんて冗談じゃない。やらされるのが特殊詐欺の受け子や掛け子だとしても、そんなものに携われば将来が奪われたも同然だ。
「お前とは働かねェ」
「え〜、ゾロは鍛えてっし、からだで返すのがいちばん早ェと思うぞ!」
「そういうのは、女がやるモンだろうが」
「そうか? 男も女も関係ねェよ」
ルフィは少し首を傾けた。それから納得したようにああ、と頷いて見せる。
「練習してみるか?」
「練習、って、なんのだよ」
「んー、とりあえずおれのチンポしゃぶってみるとか!」
言われた言葉に目眩がした。ルフィはいつもと同じように笑っている。
「やらね、ェ」
「じゃあ今度、ここの大家からこのアパート買い取ろっかな」
まるで古本を買うような調子で言われて、鳥肌が立った。大家は年老いた老婆だが、おそらくは簡単にこのアパートを手放すだろう。そうしたら、おれはどうなる。いよいよ行き場を無くして頼るべきは――。
「ゾロ、顔が青いぞ」
「当たり前……、」
「まァ、慣れてくれればいいよ」
言われたと思うと、ゾロの目の前にはルフィの性器が突き出されていた。
「ウ、ん、ん、ぐ」
そりゃあ、アダルトビデオなどで女がそうしているのを見たことがないわけではない。だが、実際に他人の、それも洗ってもいない男性器を口の中に入れるのは嫌悪感が強い。あの女優たちはよく平気でいられる、とゾロは窄めた唇で偉そうに仁王立ちしているルフィの性器をしごきながら、吐き気を止められないでいた。
「ぞろ、もっとつばだしてぬるぬるにして」
ルフィの指示はやけに的確で、他のやつにもこういうことをしているのだろうとぼんやり思う。深く考えると本当に嘔吐してしまいそうで、ゾロはルフィの言う通りにした。唾液をだして、それを塗り拡げるようにしてルフィの性器を舐める。塩気がある。小便の味でないことを祈りたかった。
「は、ゾロ、フェラうめェ、初めてじゃねェ、だろ」
「んな、ワケ、あっか、んぐ、」
「おわ、しゃぶりながら喋れるのか、ゾロはすっげェ、な」
褒められるみたいに頭を撫でられる。気持ちが悪い。
濡れた音を立てるほどに、ルフィの性器は硬く大きくなっていく。最初はごくごく普通のサイズのちんぽだったくせに、膨張率が異様だ。今となってはゾロの口に収めるのにも精一杯までに育ち切っている。
「んッ、うぅ゛、」
こうなったらさっさと射精させてしまうに限る。ゾロはなけなしの知識でルフィの亀頭をちろちろと舌でくすぐり、それから深く咥えて裏側をからかいながら口から抜いていこうとして、半分ほどきたときだった。頭にあったルフィの手に急に力が入った、と思った瞬間だった。
「あ、あー、出るッ……!」
「ゴッ、ォ……!」
いきなり頭をルフィの股間にぶつけるように押し付けられて、そのまま喉の奥に熱いものがかかるのがわかった。精液、だ、と理解した瞬間ルフィの手から逃れて性器を口から抜く。そのまま大きく咳き込んだ。
こいつ、おれの口ン中で出しやがった……!ゾロは手のひらに乗った白い粘液をねめつけた。
「てめェ、口には出さねェつったろ!」
「あっ、そうだった、ゾロに顔射するつもりだったのに……、もう一回しようぜ!」
「が、ん、しゃ、……、ってふざけんじゃねェ!」
今度こそ拒否しようとルフィを見上げると、ルフィは「しし」と笑った。それはまるでさっき大家の話題を出してきたときと同じ顔で、ゾロは唇を引き結ぶことしかできなかった。
それから一度顔にかけられもう一度口に出され、ようやくルフィは性器をジャージの中にしまった。もう部屋の外は明るくなりかけている。ゾロは口を濯ぐために立ち上がり、ろくに使わない台所でコップに水を汲んだ。
本当にろくでもなかった。今日の予定が思い出せない。朝にバイトや授業が入っていなかったか、スマホを確認しねェと……、ゾロはよろめきながら布団の方に戻る。ルフィの顔は見なかった。
「あのなーゾロ、お前なんか勘違いしてるみたいだけどよ」
ルフィは衣服を整えつつそう言った。
「べつに『からだで返す』ってのは売春しろって意味じゃねェからな」
ゾロは思わず顔をあげる。
「ゾロなら鍛えてるから、シャンクスのボディガードとか、そういうのができそうって思ったんだけどよ」
「じゃあさっきまでのは……」
「おれがゾロにしてほしかったからしてもらった!」
「て、めェ、ふざけんじゃ……、」
さすがにいつも以上に怒りを滾らせるゾロを見て、ルフィは退散を決めた。それに、今日は午前中から別件がある、ような、よく覚えてないけどそんな感じのはずだ。
「ししし、また来るな!」
「二度と来るな!」
ゾロが早朝に近所迷惑も考えず怒鳴って、ルフィはそそくさと彼のアパートを飛び出した。
二階の窓を見上げながら、ルフィはゾロはアホだなぁと思う。そんなに自分を遠ざけたいのなら、さっさと警察にでも通報すればいいのだ。実際勝手に合鍵を作って侵入、おまけにフェラを強要するなんて、逮捕されるのに不十分ということはないだろう。
それをしないのは、ゾロが借金返済を自分一人で返さねばならないと考えているからだ。人に頼ることをまるで知らない、獣のような人間だった。それがルフィにとってはたまらない。
「次はどーしよっかな」
言いながら、ルフィはゾロのアパートに背を向けた。
↑これと同じ設定
疲れ切ったからだを薄っぺらい布団に横たえると、すぐに眠気はやってきた。剣道をするために入った大学は、借金返済のためのバイトのために登校時間を削らねばならず、日本一の目標がかなり危うい状態になっている。それを歯がゆく思う権利すら、今の自分には無いのかもしれなかった。
もっと割の良いバイトを探さなければ、と思いながらそれができていないのは、おそらくは気力が削られているからなのだろう。もし、自分が女ならば、とゾロはぼんやりと思った。楽に稼ぐ術があるのだろうか。
周囲の人間には恵まれているつもりだったし、だからこそ目標のために努力だってしているつもりだった。同じ武道でも世界各国で盛んになった柔道と違い、剣道は結局日本がいちばん強く、世界大会で優勝しているのもほとんどが日本人だ。日本一になれば世界一にもなれる競技で、おれはてっぺんを取るのが夢だった。だから就職先も剣道を続けられる警察や刑務所を希望していたのだ。実際、高校卒業の頃に地元警察がスカウトに来たことだってあった。それを中学日本一、高校日本一も取ったなら大学日本一も取りたいと欲をかいた結果がこれだ。
いや、おれは自分の判断は自分で責任を持つと決めている。だから、いまのこの状態も飲み込むべきなのだろう。
借金とは、返す約束をした上で借りるモンだ。そんなことは原始時代から決まっていて、約束を反故にしたなら償いをしなければならない。
だが、その償いがこんなことになっているのは、ひとえに約束をした相手が悪かったのだろう。
生まれて初めて、後悔というものをしている。ゾロはいっそ自重の笑みさえ浮かべながら眠りについた。
は、と目を開ける。人の気配だ。家賃の安さだけが取り柄のアパートで、防犯が甘いことは理解していた。それでもゾロはそこらのこそ泥に負ける自分など想像もつかなかったので、なにも気にしたことはなかった。それでも、鍵くらいはしめて寝たはずだが。ゾロは眉を寄せて自分のうえにのしかかっている男を見上げようとした。未だ朝を迎えていない時間なのか、部屋は薄暗い。だが、知っている気配だ、とゾロは思った。相手は、「お」と声を上げた。
「起きた」
聞き覚えのある声だった。このところ、借金取りたての名目でゾロにつきまとっている少年――、ルフィである。顔に傷があることを除けばどう見ても年齢相応か、むしろそれ以下にすら見えるような天真爛漫な笑みを浮かべるくせに、彼は正しく反社会的勢力の一員なのだった。
「てめ、何してやがる……!」
ゾロはルフィをねめつけたが、ルフィはどこ吹く風だ。
「おれ、この部屋の合鍵作っちまったから。そのお知らせに来た」
「はァ!?」
睡眠時間は短いはずなのに、眠気が一気に飛んでいく。ゾロは眉を寄せた。どのように、と問い詰めたかったが、社会の秩序から外れた相手にするべき質問でもないような気がする。――まさか大家を脅しでもしたのだろうか。
疲労と寝起きでうまく回らない頭で、それでもゾロはルフィを押し退けようとした。だが、ルフィはまったく意に介さずに、ゾロの着ている古びたTシャツを勢いよく捲り上げた。
「ゾロのからだ、やっぱかっけーな!」
「……ッ」
やはりこいつの一挙一投足、まるで読めない。ゾロが歯噛みしている間に、ルフィの人差し指が胸を大きく横切る傷跡をなぞる。思わず息を飲むと、ルフィはしし、と小さく笑った。
「ゾロはこれ気に入らねェのか?」
「気に入るワケ、ねェだろ」
事故でついたそれは、ゾロに借金を負わせた直接の理由である。これさえなければこんな奴に出会わずに済んで、おれは剣道に邁進できたはずなのだ。ところがルフィはふぅん、と相槌を打ったあと、ぐっと身を乗り出した。彼の顔が目の前に来て、ゾロは思わず目をそらす。
「おれは好きだぞ、これのおかげでゾロと“約束”できた!」
「ア、?」
「ゾロはもう、逃さねェからな」
「逃げるつもりなんざねェが、おれは……、」
「サツに入りてェから離れろ?」
「わかってンじゃ、ねェか」
ゾロは今度こそ少しだけ上半身を起こし、ルフィを押し退けた。ルフィは大人しくどいてやる。ゾロは乱れていたシャツを直して、ルフィを見上げる。
「じゃあさっさと借金返さねェと。おれたちのところで働こう!」
この前からそんな誘いを受けているが、反社会的勢力のもとで働くなんて冗談じゃない。やらされるのが特殊詐欺の受け子や掛け子だとしても、そんなものに携われば将来が奪われたも同然だ。
「お前とは働かねェ」
「え〜、ゾロは鍛えてっし、からだで返すのがいちばん早ェと思うぞ!」
「そういうのは、女がやるモンだろうが」
「そうか? 男も女も関係ねェよ」
ルフィは少し首を傾けた。それから納得したようにああ、と頷いて見せる。
「練習してみるか?」
「練習、って、なんのだよ」
「んー、とりあえずおれのチンポしゃぶってみるとか!」
言われた言葉に目眩がした。ルフィはいつもと同じように笑っている。
「やらね、ェ」
「じゃあ今度、ここの大家からこのアパート買い取ろっかな」
まるで古本を買うような調子で言われて、鳥肌が立った。大家は年老いた老婆だが、おそらくは簡単にこのアパートを手放すだろう。そうしたら、おれはどうなる。いよいよ行き場を無くして頼るべきは――。
「ゾロ、顔が青いぞ」
「当たり前……、」
「まァ、慣れてくれればいいよ」
言われたと思うと、ゾロの目の前にはルフィの性器が突き出されていた。
「ウ、ん、ん、ぐ」
そりゃあ、アダルトビデオなどで女がそうしているのを見たことがないわけではない。だが、実際に他人の、それも洗ってもいない男性器を口の中に入れるのは嫌悪感が強い。あの女優たちはよく平気でいられる、とゾロは窄めた唇で偉そうに仁王立ちしているルフィの性器をしごきながら、吐き気を止められないでいた。
「ぞろ、もっとつばだしてぬるぬるにして」
ルフィの指示はやけに的確で、他のやつにもこういうことをしているのだろうとぼんやり思う。深く考えると本当に嘔吐してしまいそうで、ゾロはルフィの言う通りにした。唾液をだして、それを塗り拡げるようにしてルフィの性器を舐める。塩気がある。小便の味でないことを祈りたかった。
「は、ゾロ、フェラうめェ、初めてじゃねェ、だろ」
「んな、ワケ、あっか、んぐ、」
「おわ、しゃぶりながら喋れるのか、ゾロはすっげェ、な」
褒められるみたいに頭を撫でられる。気持ちが悪い。
濡れた音を立てるほどに、ルフィの性器は硬く大きくなっていく。最初はごくごく普通のサイズのちんぽだったくせに、膨張率が異様だ。今となってはゾロの口に収めるのにも精一杯までに育ち切っている。
「んッ、うぅ゛、」
こうなったらさっさと射精させてしまうに限る。ゾロはなけなしの知識でルフィの亀頭をちろちろと舌でくすぐり、それから深く咥えて裏側をからかいながら口から抜いていこうとして、半分ほどきたときだった。頭にあったルフィの手に急に力が入った、と思った瞬間だった。
「あ、あー、出るッ……!」
「ゴッ、ォ……!」
いきなり頭をルフィの股間にぶつけるように押し付けられて、そのまま喉の奥に熱いものがかかるのがわかった。精液、だ、と理解した瞬間ルフィの手から逃れて性器を口から抜く。そのまま大きく咳き込んだ。
こいつ、おれの口ン中で出しやがった……!ゾロは手のひらに乗った白い粘液をねめつけた。
「てめェ、口には出さねェつったろ!」
「あっ、そうだった、ゾロに顔射するつもりだったのに……、もう一回しようぜ!」
「が、ん、しゃ、……、ってふざけんじゃねェ!」
今度こそ拒否しようとルフィを見上げると、ルフィは「しし」と笑った。それはまるでさっき大家の話題を出してきたときと同じ顔で、ゾロは唇を引き結ぶことしかできなかった。
それから一度顔にかけられもう一度口に出され、ようやくルフィは性器をジャージの中にしまった。もう部屋の外は明るくなりかけている。ゾロは口を濯ぐために立ち上がり、ろくに使わない台所でコップに水を汲んだ。
本当にろくでもなかった。今日の予定が思い出せない。朝にバイトや授業が入っていなかったか、スマホを確認しねェと……、ゾロはよろめきながら布団の方に戻る。ルフィの顔は見なかった。
「あのなーゾロ、お前なんか勘違いしてるみたいだけどよ」
ルフィは衣服を整えつつそう言った。
「べつに『からだで返す』ってのは売春しろって意味じゃねェからな」
ゾロは思わず顔をあげる。
「ゾロなら鍛えてるから、シャンクスのボディガードとか、そういうのができそうって思ったんだけどよ」
「じゃあさっきまでのは……」
「おれがゾロにしてほしかったからしてもらった!」
「て、めェ、ふざけんじゃ……、」
さすがにいつも以上に怒りを滾らせるゾロを見て、ルフィは退散を決めた。それに、今日は午前中から別件がある、ような、よく覚えてないけどそんな感じのはずだ。
「ししし、また来るな!」
「二度と来るな!」
ゾロが早朝に近所迷惑も考えず怒鳴って、ルフィはそそくさと彼のアパートを飛び出した。
二階の窓を見上げながら、ルフィはゾロはアホだなぁと思う。そんなに自分を遠ざけたいのなら、さっさと警察にでも通報すればいいのだ。実際勝手に合鍵を作って侵入、おまけにフェラを強要するなんて、逮捕されるのに不十分ということはないだろう。
それをしないのは、ゾロが借金返済を自分一人で返さねばならないと考えているからだ。人に頼ることをまるで知らない、獣のような人間だった。それがルフィにとってはたまらない。
「次はどーしよっかな」
言いながら、ルフィはゾロのアパートに背を向けた。