水天一色〜ポエム〜

もう離れぬように一つに融け合おう

2024/08/18 15:31
長編
解説
祖父母へ贈る詩。
棺に絵を一緒に入れてもらいました



一つ一つの光景に
胸の奥がじんわりと熱を帯びた
やがては広がる

息が苦しい…
今際いまわきわに飲み込まれそうだ
だからか?
この手に繋がる数珠を
強く握りしめるのは…

それぞれの祈りが悲願へとなし
やがては 一つのもとへと還る


温もりのない肌に触れた瞬間
悟ってしまった
もう……
" あなた " と " わたし " は
別世界の住人なのだと

だから『心』に語ってみました

伝えたい言葉は
たくさんあるけれど
でも 今は これだけ届けばいい


固く閉ざされた鉄とびらが
大口開けて あなたを迎え入れる

さあ 準備は整った

重圧なるひつぎ
じっくりと…ゆっくりと……確実に
戻れない時間に 足を踏み入れる

それは 非常に長い 永遠か?
非常に短い 刹那せつなか?
曖昧模糊あいまいもこな時が過ぎ去る


再び開かれた鉄とびらは
冷淡に思えるほど あっけなく開かれ
切実込めてえがかれた想いは
灰色の塵芥ちりあくたと化して戻ってきた


これが『応えの…返事…?』

解ってはいた
それでもやはり 割り切れない…
後悔も していないと言えば 嘘になるし
実は言うと 最後まで躊躇ためらっていたんだ


なんじの想いは紡がれた
胸に手をあて 耳をあて
澄ましてごらん?
理論ではなく 心に従うのです

灰になって
消えてしまったのではない
そう これは
『あなたへと届いた証』

確かに 聴こえた
確かに 感じた
傍に感じる
今 供にいることをーー
強くこの身で実感する


この瞬間だけは聖域


この想いを 守りたい
この想いを 届けたい
この想いを 繋げたいから

もう この手を離さないで
もう この手は離れないから

優しく光る 二つの御霊みたま
さあ 一つに融け合おう

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