厄災前の英傑達の物語を聞いて育った少女の物語。
出会い〜旅立ち
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「ふっ、…っ」
虫の音と川のせせらぎを割って、ひゅ、と空気を切る音がする。
リンクは宿を出て裏側に回った川辺で剣の素振りをしていた。いつもは何も考えずただ剣を振るだけだが、今日は違っていた。
ーーリンクさんだって、一人の人間なのに…
先程聞いたラケルの声が頭の中で繰り返される。
リンクは目覚めてこの方、ゼルダ姫を救うことが自分の使命だと信じ、それを実行していた。
それをただ、当たり前のように。
だがラケルは、それに思うところがあるようだった。
彼女と、もっと話してみたい…
びゅ、と勢いよく斜めに空を切ったときだった
「あ、リンクさん!」
エプロンをし、ゴミの袋を持ってラケルがでてきた。
どうやら勝手口があるらしい。
「もう始めていたんですね。お腹痛くなりませんか?」
「いや…」
「すごいですね、私食べてすぐ動くとお腹痛くなっちゃう」
そんなことを言いながらラケルは、リンクから少し離れた川辺に腰を下ろした。
「あ、気にせず続けてくださいね」
そう言われ、リンクは再び剣を振りはじめる。
ラケルはしばらくじっと、ただリンクを見つめていた。
「…リンクさんは…さみしくないんですか…?」
魚が一匹、ぽしゃんとはねた。
「…さみしいか、さみしくないかで、考えたことは、ない」
剣を振りながら、リンクが答える。
「俺は目覚めたときから一人だったし、初めてあった人は俺を知っていたけど、ハイラル王の亡霊だったし…その後もただ、誰かに言われた通り、進んできた。」
「…そっか…」
ラケルはリンクを見ているようで、リンクを通して何かを見ていた。
「私…本当は、この家の人間ではないんです…」
「…どういうこと?」
「昔ツキミお姉さまの両親に拾われて…私の本当の両親は、ある人達に殺されたんです…」
リンクが手を止め、ラケルを見る。
ラケルは立てた膝に腕を組み、そこに頭を乗せリンクの方をぼんやりと見つめていた。
「その育ててくれた両親も去年、事故で亡くなったけれど、私は昔本当の両親に、昔の厄災と、英傑様の話を聞かされて育ちました。お姫様と、…4人の英傑と、騎士の英傑様のお話を…」
雲間から月が出て、ラケルたちを照らした。
「ずっと英傑様に憧れていました。世界を救うために出会うべくして集い、共に戦った…絆はきっと素晴らしいものだったんだろうなって。でも…今、あなたはたった一人で戦っているんですね…」
「……」
「たった一人で、戦おうとしている…なんだかそれを見てると、私……」
沈黙がおりた。
ラケルは顔の向きを川の方に変え、水面を見つめている。
「なにか…しないといけない…ような………?リンクさん…?」
突然、リンクがラケル右側に立ち、鞘から剣を抜いた。あたりに笑い声が響き渡ったかとおもえば、ボン、と言う音とともに紙札のようなものと、人間が現れた。
「見つけたぞ、英傑ッ!」
そして突如、リンクが地を蹴り人間に斬りかかる。
「ラケル、さがって」
「リンクさん…!」
激しく響き渡る剣戟音に驚き、ラケルは何か助けになれないかとあたりを見回すと、勝手口のそばに、木でできた練習用の棍を見つけた。
それを手に取り、リンクの加勢に行こうとした、その瞬間。
「全員、うごくな!」
ピタッとリンクの動きが止まる。
振り返ると、そこにあったのは隠れていたもう一人がラケルの首に鎌をあてがっている姿だった。
虫の音と川のせせらぎを割って、ひゅ、と空気を切る音がする。
リンクは宿を出て裏側に回った川辺で剣の素振りをしていた。いつもは何も考えずただ剣を振るだけだが、今日は違っていた。
ーーリンクさんだって、一人の人間なのに…
先程聞いたラケルの声が頭の中で繰り返される。
リンクは目覚めてこの方、ゼルダ姫を救うことが自分の使命だと信じ、それを実行していた。
それをただ、当たり前のように。
だがラケルは、それに思うところがあるようだった。
彼女と、もっと話してみたい…
びゅ、と勢いよく斜めに空を切ったときだった
「あ、リンクさん!」
エプロンをし、ゴミの袋を持ってラケルがでてきた。
どうやら勝手口があるらしい。
「もう始めていたんですね。お腹痛くなりませんか?」
「いや…」
「すごいですね、私食べてすぐ動くとお腹痛くなっちゃう」
そんなことを言いながらラケルは、リンクから少し離れた川辺に腰を下ろした。
「あ、気にせず続けてくださいね」
そう言われ、リンクは再び剣を振りはじめる。
ラケルはしばらくじっと、ただリンクを見つめていた。
「…リンクさんは…さみしくないんですか…?」
魚が一匹、ぽしゃんとはねた。
「…さみしいか、さみしくないかで、考えたことは、ない」
剣を振りながら、リンクが答える。
「俺は目覚めたときから一人だったし、初めてあった人は俺を知っていたけど、ハイラル王の亡霊だったし…その後もただ、誰かに言われた通り、進んできた。」
「…そっか…」
ラケルはリンクを見ているようで、リンクを通して何かを見ていた。
「私…本当は、この家の人間ではないんです…」
「…どういうこと?」
「昔ツキミお姉さまの両親に拾われて…私の本当の両親は、ある人達に殺されたんです…」
リンクが手を止め、ラケルを見る。
ラケルは立てた膝に腕を組み、そこに頭を乗せリンクの方をぼんやりと見つめていた。
「その育ててくれた両親も去年、事故で亡くなったけれど、私は昔本当の両親に、昔の厄災と、英傑様の話を聞かされて育ちました。お姫様と、…4人の英傑と、騎士の英傑様のお話を…」
雲間から月が出て、ラケルたちを照らした。
「ずっと英傑様に憧れていました。世界を救うために出会うべくして集い、共に戦った…絆はきっと素晴らしいものだったんだろうなって。でも…今、あなたはたった一人で戦っているんですね…」
「……」
「たった一人で、戦おうとしている…なんだかそれを見てると、私……」
沈黙がおりた。
ラケルは顔の向きを川の方に変え、水面を見つめている。
「なにか…しないといけない…ような………?リンクさん…?」
突然、リンクがラケル右側に立ち、鞘から剣を抜いた。あたりに笑い声が響き渡ったかとおもえば、ボン、と言う音とともに紙札のようなものと、人間が現れた。
「見つけたぞ、英傑ッ!」
そして突如、リンクが地を蹴り人間に斬りかかる。
「ラケル、さがって」
「リンクさん…!」
激しく響き渡る剣戟音に驚き、ラケルは何か助けになれないかとあたりを見回すと、勝手口のそばに、木でできた練習用の棍を見つけた。
それを手に取り、リンクの加勢に行こうとした、その瞬間。
「全員、うごくな!」
ピタッとリンクの動きが止まる。
振り返ると、そこにあったのは隠れていたもう一人がラケルの首に鎌をあてがっている姿だった。