厄災前の英傑達の物語を聞いて育った少女の物語。
出会い〜旅立ち
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「……私は、どうやら、100年前に生きたヨルダというゼルダ姫の双子の生まれ変わり…なんですかね。…と言っても、私も自分でも、ハッキリとわかってるわけではないんですが……」
「………、」
ラケルから記憶の話を聞いても、リンクはいまいちピンときてはいなかった。
自分の中にある記憶の欠片はほんのわずかで、まだ自分としてもなすべきことすらあやふやな状態だ。
正直なところ、まだ壮大な昔物話を聞いているような感覚だった。
「急に私を連れてけ、なんて言われても困っちゃいますよね。ゼルダ姫様もむちゃくちゃだなぁ……」
「…姫様?姉妹なんじゃないのか?」
双子であれば、様などつけなくても良いのではという、疑問が浮かんだ。
「いえ、私、どうも生まれ変わりはそうなんだと思いますが、…うーん。うまく言えませんが、記憶を引き継いだ別人…、というような感覚でしょうか。」
ラケルは困ったように眉を下げて続けた。
「冷たいようなんですが…ヨルダの記憶のことも、例えば昔話を読んだ記憶のように、事象としてしか認識できなくて。」
「……俺も…」
「え?」
ラケルの言葉を聞いて、リンクはなにかすごく納得できるというか、親近感を覚えた。
「俺も、100年前の自分と、今の自分…同一として考えることが、いまはまだ…難しいから」
ハッとして、ラケルはリンクを見上げた。
月明かりに照らされたリンクの横顔は、凛と美しく精悍で、それでいていまは、なんだか寂しげに見えた。
「そう…そうなんですね。同じですね、私達。」
そう言って微笑んだラケルに、リンクはなぜだか言いようのない気持ちになった。例えるなら、胸に小さな痛みのような、少し胸が苦しいような、そんな感覚である。
「でも、だからって一緒には「俺は!」……えっ」
「…、俺は…きみ…ラケルがいいなら、ラケルについてきてほしい」
「…!」
思わぬ発言に、ラケルは目を丸くして、服の胸のあたりを無意識にぎゅっと握りしめた。
「俺と一緒に行くと、さっきみたいに…命を狙われたり、モンスターと戦うことになったり、危険なことがたくさんあると思う。もし、それでも…よければ」
そこまで話して、リンクは立てた膝に顔を伏せて、何も言わずラケルの返事を待った。思い切って話してみたけれど、平凡な暮らす彼女にとってはこんな申し出はあまりに酷だし、正直に言って自分が孤独を感じたくなくて、自分勝手に頼むのは、申し訳ない気がしたし、なんだか、自分らしくないような気もした。
「…はい、私でよければ。」
勢いよく顔を上げ、ラケルとリンクの視線が合う。
先ほどと違い、リンクの目にはこころなしか光が宿っていた。
「ゼルダ姫様にも言われていますし、何より…私自身が、リンクさんと一緒に行ってみたいです!」
ふわり。
花が咲くような笑顔。
とく、とリンクの胸が鳴った。
「ありがとう、ラケル…これから、よろしく」
その感情の正体に気づくことはなく、リンクもまた、柔らかく笑顔を見せるのだった。
「………、」
ラケルから記憶の話を聞いても、リンクはいまいちピンときてはいなかった。
自分の中にある記憶の欠片はほんのわずかで、まだ自分としてもなすべきことすらあやふやな状態だ。
正直なところ、まだ壮大な昔物話を聞いているような感覚だった。
「急に私を連れてけ、なんて言われても困っちゃいますよね。ゼルダ姫様もむちゃくちゃだなぁ……」
「…姫様?姉妹なんじゃないのか?」
双子であれば、様などつけなくても良いのではという、疑問が浮かんだ。
「いえ、私、どうも生まれ変わりはそうなんだと思いますが、…うーん。うまく言えませんが、記憶を引き継いだ別人…、というような感覚でしょうか。」
ラケルは困ったように眉を下げて続けた。
「冷たいようなんですが…ヨルダの記憶のことも、例えば昔話を読んだ記憶のように、事象としてしか認識できなくて。」
「……俺も…」
「え?」
ラケルの言葉を聞いて、リンクはなにかすごく納得できるというか、親近感を覚えた。
「俺も、100年前の自分と、今の自分…同一として考えることが、いまはまだ…難しいから」
ハッとして、ラケルはリンクを見上げた。
月明かりに照らされたリンクの横顔は、凛と美しく精悍で、それでいていまは、なんだか寂しげに見えた。
「そう…そうなんですね。同じですね、私達。」
そう言って微笑んだラケルに、リンクはなぜだか言いようのない気持ちになった。例えるなら、胸に小さな痛みのような、少し胸が苦しいような、そんな感覚である。
「でも、だからって一緒には「俺は!」……えっ」
「…、俺は…きみ…ラケルがいいなら、ラケルについてきてほしい」
「…!」
思わぬ発言に、ラケルは目を丸くして、服の胸のあたりを無意識にぎゅっと握りしめた。
「俺と一緒に行くと、さっきみたいに…命を狙われたり、モンスターと戦うことになったり、危険なことがたくさんあると思う。もし、それでも…よければ」
そこまで話して、リンクは立てた膝に顔を伏せて、何も言わずラケルの返事を待った。思い切って話してみたけれど、平凡な暮らす彼女にとってはこんな申し出はあまりに酷だし、正直に言って自分が孤独を感じたくなくて、自分勝手に頼むのは、申し訳ない気がしたし、なんだか、自分らしくないような気もした。
「…はい、私でよければ。」
勢いよく顔を上げ、ラケルとリンクの視線が合う。
先ほどと違い、リンクの目にはこころなしか光が宿っていた。
「ゼルダ姫様にも言われていますし、何より…私自身が、リンクさんと一緒に行ってみたいです!」
ふわり。
花が咲くような笑顔。
とく、とリンクの胸が鳴った。
「ありがとう、ラケル…これから、よろしく」
その感情の正体に気づくことはなく、リンクもまた、柔らかく笑顔を見せるのだった。