輪廻転生
第六話 違和感
(今日は早く帰れそうだな…)
生徒会長をやっているせいか、いつも帰る時間が遅くなっていたが今日は生徒会がなくなったのですぐ帰れるらしい。
とは言っても家は父も母も仕事でいないため家には使用人しかいないので帰っても何かがあるわけでもないが。
「アスランもう帰りですか?」
「二コルか、二コルはこれからピアノのレッスンか。」
後ろから声をかけられたと思ったら、同じ生徒会の二コルだった。
男としては小さめの身長のせいか少し上目使いで見上げてくる。そして彼の腕の中には楽譜の束とペンケースが収まっていた。
「はい。もしかしたらコンクールに入賞したら、コンサートができるかもしれないんです。なのでこれからコンクールに向けて練習なんです。」
少し目元を赤くしながら照れたように言う。
「その。アスランに二週間後にあるコンクールを見に来てほしくて…」
手元にあるペンケースにつけてある音符のキーホルダーをいじりながら頬を染めながらコンクールのチケットを手渡してくる。
そのチケットの日付を見るとちょうど母の仕事の用事について行かなければいけない日だった。
少し申し訳ない気持ちになりながら二コルのコンクールに行けそうにないことに少し残念に思う。
「すまない。その日は予定があって。でも応援してるぞ二コル。」
「っごめんなさい!アスランも忙しいのに。そのもしコンクールに入賞してコンサートを開けたらその時は来てくださいね。」
残念そうにチケットをしまう二コルにより罪悪感を少し感じながらコンクールは行くことを伝えて二コルとはそこで別れた。
いつもの道を歩きながら大通りの信号が変わるのをボーっと待っていると向かいの信号がちょうど赤に変わってこちらが青信号に変わろうとしていたところで。
キキーーっ!!と車が止まった音とドン!という何かがぶつかる音が大通りに響く。それと女性の悲鳴が聞こえる。
何があったんだと驚いて音がしたところを見ると。見覚えがあるピンクのウェーブの髪と腕の中に小さな子度をかばいながらはねられている”キラ”がいた。
その姿を見た瞬間周りがスローモーションのように感じる。血の気が引くとはこのようなことだろう、背に嫌な汗がつたい血がサーっと引いていく感じがする。
そこにいた人々が何事か何事かとその場に集まっていく。
アスランも急いでラクスのもとへ走っていく。
「ラクス、一体キラに何があったんだっ!」
ラクスがアスランを見て驚いている。
「アスラン⁉キラが!キラが飛び出した子供をかばうためにはねられてしまったんです!」
キラの容態を見ようとキラのもとにかがむ、キラの頭から血が滴っている。血の気が引くとはこのことなのだろう。
キラが意識を失いながら倒れているのを見るだけで、もう二度とキラに会えないので話ないかと思ってしまう。
近くにダンプカーとその運転手なのだろう、交差点のすぐ近くに交番があったようですぐ警察に色々聞かれている。
キラを抱き上げ腕の中にいた子供はラクスがお母さんのもとへ帰している。救急車が来るまでは安全なところへと思い車道から歩道のはじにキラを運ぼうと膝の下に手を入れ抱き上げる。
あまりにも細い腕と軽いからだその感触が身に覚えがある。なんだ…キラを抱き上げるのは今回が初めてなはずなのに…それにキラが今にも消えてしまいそうでひどく不安になる。
動悸がひどい息が荒くなる、今にも腕から力が抜けてしまいそうだ。
なんとかキラの細い体を抱き留め、抱きしめる。
「…あれ?…あすらん?どうしてここに……」
すると腕の中にいたキラが目を開ける、キラの額から血が滴る。そのキラの顔を見て頭に電流が流れたような痛みとともに何かの映像がフラッシュバックする。
『キラ!』
血を流しながら倒れるキラと見知らぬ格好をした自分がいる。
(どういうことだこれは…それにここは?なぜ俺がここにいるんだ…)
「…ラン。」
自分…に似た人間が体のラインが出ている不思議な服?を着ている。そしてキラも同じものを着ている。
(なんだ…それに来ている服は見たこともなければ着たことも当然ないものだし…それじゃあこの俺に似ているこの男は俺ではない?…しかしこの光景はなぜか見覚えがある?)
「…ア…ラン!」
アスランに似た男はキラと呼んだキラにうり二つの女性を抱え上げぼたぼたと涙を流している。
それを見るだけでなぜだかアスランも顔をしかめる、キラかどうかは分からないが似ている女性が息絶えてしまいそうなところを見ると胸が苦しくなる。
すると息も絶え絶えなキラがアスランにひどく似ている男の頬に手を添え微笑む。
『アスラン…ごめん。また迷惑…』
『そんなことはどうでもいい!迷惑なんてたくさんかけていいから!頼む生きてくれ…』
「アスラン!」
はっとする、しばらく動かなかったアスランを不思議に思ったのだろう、ラクスにすごい力で腕を引っ張られている。
こんな無害そうな顔でとんでもなく力があるらしい。
「…ラクス。すまないなんでもない、そんなことより救急車は?」
「もうすぐ来てくださるみたいですわ、そんなことよりアスランあなた…」
暫く呼びかけても反応しなかったアスランを不思議に思ったのだろう。心配そうにアスランを見上げている。
「ラクス、どうしたんだ?キラの容態は?」
「見た感じそこまで大怪我ではなさそうですわ。お医者様がまだ診ていないので本当のところはどうだかわからないですが…」
それもそうだな…キラは先ほど目を開けた後はずっと目を閉じている。
ラクスは今にも泣きだしてしまいそうに目を潤ませている。目の前でキラがダンプカーに轢かれた所を見てとても不安だったのだろう。
そこへ救急車が到着する。隊員の人に色々伝え一緒に乗り込もうとしたら。
「君達は学生なんだ、お家に帰りなさい。この子のご両親の連絡先を教えてくれてありがとう。」
さすがにもう夜遅くなりかけているし、病院に未成年をそんなに入れられないのだろう、今日は仕方なくラクスと共に帰ることにした。
(キラ…さっきの頭痛とフラッシュバックは一体…)
まだ鈍い痛みが残る頭を押さえながら歩いていると。
「アスラン?大丈夫ですか?なにやら頭を押さえているようですが…」
「あぁ大丈夫だ。少し混乱してたみたいだな。なんだか知らない記憶が頭の中を流れるような感覚があったが今は大丈夫だ。」
「⁉まさか…フラッシュバックのようなものですか?」
ラクスが驚いたように目を見開いてこちらを心配そうに覗いている。
「どうしてわかったんだ?」
「別に勘ですわ。」
「そうか…」
少し慌てたようにラクスが誤魔化している。何をそんなに慌てているのか分からないがあまり深く聞かれてほしくなさそうなので深く言わないでおく。
家に着きさっさと夕飯を済ます。
今日のなぜか本当にあったような記憶がなんだったか必死に思い出そうとしてみる。
しかし、やはり身に覚えがない。すこし考え事をしていると、ラクスからメールが届く。
「キラは軽傷だったみたいですわ。一応三日ほど入院して様子を見るみたいですから明日一緒に行きませんか?」
キラがとりあえず無事で軽傷だったことに安心する。
「分かった。明日の放課後病院の前で。」
とだけ返しいろいろ考えてしまわないように寝室へ向かい目をつむる。
次回 「戸惑いと前世」お楽しみに~
(今日は早く帰れそうだな…)
生徒会長をやっているせいか、いつも帰る時間が遅くなっていたが今日は生徒会がなくなったのですぐ帰れるらしい。
とは言っても家は父も母も仕事でいないため家には使用人しかいないので帰っても何かがあるわけでもないが。
「アスランもう帰りですか?」
「二コルか、二コルはこれからピアノのレッスンか。」
後ろから声をかけられたと思ったら、同じ生徒会の二コルだった。
男としては小さめの身長のせいか少し上目使いで見上げてくる。そして彼の腕の中には楽譜の束とペンケースが収まっていた。
「はい。もしかしたらコンクールに入賞したら、コンサートができるかもしれないんです。なのでこれからコンクールに向けて練習なんです。」
少し目元を赤くしながら照れたように言う。
「その。アスランに二週間後にあるコンクールを見に来てほしくて…」
手元にあるペンケースにつけてある音符のキーホルダーをいじりながら頬を染めながらコンクールのチケットを手渡してくる。
そのチケットの日付を見るとちょうど母の仕事の用事について行かなければいけない日だった。
少し申し訳ない気持ちになりながら二コルのコンクールに行けそうにないことに少し残念に思う。
「すまない。その日は予定があって。でも応援してるぞ二コル。」
「っごめんなさい!アスランも忙しいのに。そのもしコンクールに入賞してコンサートを開けたらその時は来てくださいね。」
残念そうにチケットをしまう二コルにより罪悪感を少し感じながらコンクールは行くことを伝えて二コルとはそこで別れた。
いつもの道を歩きながら大通りの信号が変わるのをボーっと待っていると向かいの信号がちょうど赤に変わってこちらが青信号に変わろうとしていたところで。
キキーーっ!!と車が止まった音とドン!という何かがぶつかる音が大通りに響く。それと女性の悲鳴が聞こえる。
何があったんだと驚いて音がしたところを見ると。見覚えがあるピンクのウェーブの髪と腕の中に小さな子度をかばいながらはねられている”キラ”がいた。
その姿を見た瞬間周りがスローモーションのように感じる。血の気が引くとはこのようなことだろう、背に嫌な汗がつたい血がサーっと引いていく感じがする。
そこにいた人々が何事か何事かとその場に集まっていく。
アスランも急いでラクスのもとへ走っていく。
「ラクス、一体キラに何があったんだっ!」
ラクスがアスランを見て驚いている。
「アスラン⁉キラが!キラが飛び出した子供をかばうためにはねられてしまったんです!」
キラの容態を見ようとキラのもとにかがむ、キラの頭から血が滴っている。血の気が引くとはこのことなのだろう。
キラが意識を失いながら倒れているのを見るだけで、もう二度とキラに会えないので話ないかと思ってしまう。
近くにダンプカーとその運転手なのだろう、交差点のすぐ近くに交番があったようですぐ警察に色々聞かれている。
キラを抱き上げ腕の中にいた子供はラクスがお母さんのもとへ帰している。救急車が来るまでは安全なところへと思い車道から歩道のはじにキラを運ぼうと膝の下に手を入れ抱き上げる。
あまりにも細い腕と軽いからだその感触が身に覚えがある。なんだ…キラを抱き上げるのは今回が初めてなはずなのに…それにキラが今にも消えてしまいそうでひどく不安になる。
動悸がひどい息が荒くなる、今にも腕から力が抜けてしまいそうだ。
なんとかキラの細い体を抱き留め、抱きしめる。
「…あれ?…あすらん?どうしてここに……」
すると腕の中にいたキラが目を開ける、キラの額から血が滴る。そのキラの顔を見て頭に電流が流れたような痛みとともに何かの映像がフラッシュバックする。
『キラ!』
血を流しながら倒れるキラと見知らぬ格好をした自分がいる。
(どういうことだこれは…それにここは?なぜ俺がここにいるんだ…)
「…ラン。」
自分…に似た人間が体のラインが出ている不思議な服?を着ている。そしてキラも同じものを着ている。
(なんだ…それに来ている服は見たこともなければ着たことも当然ないものだし…それじゃあこの俺に似ているこの男は俺ではない?…しかしこの光景はなぜか見覚えがある?)
「…ア…ラン!」
アスランに似た男はキラと呼んだキラにうり二つの女性を抱え上げぼたぼたと涙を流している。
それを見るだけでなぜだかアスランも顔をしかめる、キラかどうかは分からないが似ている女性が息絶えてしまいそうなところを見ると胸が苦しくなる。
すると息も絶え絶えなキラがアスランにひどく似ている男の頬に手を添え微笑む。
『アスラン…ごめん。また迷惑…』
『そんなことはどうでもいい!迷惑なんてたくさんかけていいから!頼む生きてくれ…』
「アスラン!」
はっとする、しばらく動かなかったアスランを不思議に思ったのだろう、ラクスにすごい力で腕を引っ張られている。
こんな無害そうな顔でとんでもなく力があるらしい。
「…ラクス。すまないなんでもない、そんなことより救急車は?」
「もうすぐ来てくださるみたいですわ、そんなことよりアスランあなた…」
暫く呼びかけても反応しなかったアスランを不思議に思ったのだろう。心配そうにアスランを見上げている。
「ラクス、どうしたんだ?キラの容態は?」
「見た感じそこまで大怪我ではなさそうですわ。お医者様がまだ診ていないので本当のところはどうだかわからないですが…」
それもそうだな…キラは先ほど目を開けた後はずっと目を閉じている。
ラクスは今にも泣きだしてしまいそうに目を潤ませている。目の前でキラがダンプカーに轢かれた所を見てとても不安だったのだろう。
そこへ救急車が到着する。隊員の人に色々伝え一緒に乗り込もうとしたら。
「君達は学生なんだ、お家に帰りなさい。この子のご両親の連絡先を教えてくれてありがとう。」
さすがにもう夜遅くなりかけているし、病院に未成年をそんなに入れられないのだろう、今日は仕方なくラクスと共に帰ることにした。
(キラ…さっきの頭痛とフラッシュバックは一体…)
まだ鈍い痛みが残る頭を押さえながら歩いていると。
「アスラン?大丈夫ですか?なにやら頭を押さえているようですが…」
「あぁ大丈夫だ。少し混乱してたみたいだな。なんだか知らない記憶が頭の中を流れるような感覚があったが今は大丈夫だ。」
「⁉まさか…フラッシュバックのようなものですか?」
ラクスが驚いたように目を見開いてこちらを心配そうに覗いている。
「どうしてわかったんだ?」
「別に勘ですわ。」
「そうか…」
少し慌てたようにラクスが誤魔化している。何をそんなに慌てているのか分からないがあまり深く聞かれてほしくなさそうなので深く言わないでおく。
家に着きさっさと夕飯を済ます。
今日のなぜか本当にあったような記憶がなんだったか必死に思い出そうとしてみる。
しかし、やはり身に覚えがない。すこし考え事をしていると、ラクスからメールが届く。
「キラは軽傷だったみたいですわ。一応三日ほど入院して様子を見るみたいですから明日一緒に行きませんか?」
キラがとりあえず無事で軽傷だったことに安心する。
「分かった。明日の放課後病院の前で。」
とだけ返しいろいろ考えてしまわないように寝室へ向かい目をつむる。
次回 「戸惑いと前世」お楽しみに~
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