輪廻転生

              プロローグ

「嘘だろキラ、嘘だと言ってくれ…」
あぁ、もうしゃべることも僕はできないみたい。

アスランそんなに泣いたら眼が腫れてしまうよ。

アスランは、銃で撃たれた僕をきつく抱きしめる。
僕一人の犠牲で世界が平和になるなら、僕は喜んで心臓の音をとめるよ。

でも、君の隣が僕じゃないのは辛いなぁ

「あすらん、愛してる...よ」

遠のいていく意識と手足の感覚がだんだんなくなっていくのを感じ、僕は意識を手放した。


「キラ!キラアアアアアアアアアア!」

アスランは、キラの細い体を抱きあげブルーコスモス本拠地を出た。

キラがいない世界なんて、いらない。



白い天井、女の人と男の人の声…泣いている?

ここは、どこ…僕は撃たれたはず…?

「ありがとう…カリダ…」

「私のほうこそ、ハルマ…この子の名前は?」

「女の子はキラにすると決めてたんだ…」

カリダとハルマって、お母さんとお父さん?

ていうか、僕の手が小さいなぁ?どうしてだろう...それに、発声がしづらい。




どうやら、僕は転生をしてしまったようだ。

生まれて11年わかったことは。

この世界には、コーディネーターもナチュラルもないらしい。

そして、戦争が起きたのは数百年前起きたくらいでこれから起きることなんてないっぽいし。

驚いたことといえば、幼馴染がアスランじゃなくてカガリだった。

カガリがいるってことは、ほかのみんなもいるんじゃないかと思う。

アスランはザラコーポレーションとかあるから、いるんだろうけど。
この世界ではきっと会うことも、また恋人にもなることはないんだろうと思うと少しどころかだいぶ悲しい。
けれど仕方がない、彼はC.Eのことをきっと覚えていないのだから。
カガリも父さんも母さんも覚えていなさそうだった。

どうやら覚えているのは僕だけみたい。

そこから四年後、僕とカガリは私立の高校に入学した。

「キラ!一緒に学校行こ!」

カガリはあの頃と全く変わらず、快活な少女だった。

男勝りなところも変わらず、誰にでも分け隔てなく接しているような少女だった。

それに比べて僕の人見知りとめんどくさがりは相変わらず変わらずだったからなのか、アスランのポジションがカガリに変わったような感覚だった。

二人で電車に乗って、通学しているとカガリが。

「なぁ、キラ知ってるか?9月から海外から双子の姉妹が転校してくるとか。それがとんでもなく美人さんなんだってよ。」

「転校生?9月だから海外の学校の進級のタイミングだったのかな?」

「さぁな~?でも二人ともとんでもない美人ってことでみんな大盛り上がりみたいだな。」

「へぇ~そうゆうのよく分からないけど楽しみだね。」

電車が待ち合わせで少し停車していると、近くのドアからフレイとミリアリアが乗ってきた。

みんなで朝の挨拶をかわし、ミリアリアが話を切り出す。

「二人は何の話してたの?」

「9月からくる、双子の転校生について話してたんだ。」

「あぁ、すごい美人って噂のやつよね?もう、男ったらほんとしょーもないわねぇ。」

「何々?フレイったら、またサイと何かあったの~?」

「お前らはすぐけんかするなぁ」

「喧嘩なんかしてないわよ!あれもこれも全部サイが悪いのよ!」

みんなが、会話に盛り上がっている中三人を見ていたら。

「ってゆうか、キラ三年の先輩に告白されていたけどどうなったのよ?」

フレイがワクワクしながら聞いてくる。

そう、前世はあんまりモテなかったのに転生してから、なぜか異様に異性に告白されていた。

なぜかはわからないが、僕は恋愛とか前世のアスランと戦時中の中でしかしたことないからあまり恋愛のことはわからなかったし。

それにカガリが異様に嫌がるのだ、カガリは幼馴染であり、いとこでもあるがまるでわが子を取られたくないといわんばかりに過保護だった。

「別に、丁重にお断りさせていただいたよ。先輩のことあんまり知らないし。」

「え~キラったらもったいない!あの人かっこいいって有名なのに!」

とミリアリアが言った瞬間カガリが声を張り上げる。

「ダメだ!ダメだ!キラが知らない誰かのものになるなんて!」

「カガリったら早くキラ離れしなさいよ。」

そんな風にいつも道理会話しながら、四人で学校へ向かう。



              第一話


四人でだべりながら、いつも道理の時間に教室につく。

つい最近入学したばかりだと思っていたけれどもう八月の末だ、時の流れは速いと思いながら外を見ていると、授業が始まるチャイムが鳴る。

やはり前世の記憶があるせいか、中学までの勉強は簡単だったし何なら高校も簡単だった。

前世から何も変わらず時間だけが有り余っていたので、ずっとプログラミングを勉強しても怒られなかった。

カガリは、体を動かしたいようで「なにやってんだ?」と聞いてはくるものの、答えたらわからないらしく、つまんなそうに去っていくのは幼いころから高校まで全く変わらない。

ごく普通の日常が一週間過ぎて九月転校生がやってきた。




教室につくと、女の子の転校生が二人も来るから男の子がそわそわしている。

フレイが溜息を吐いて

「分かりやすいわねぇ全く。」

「なになに?サイが浮かれてないか心配なのかー?」

「違うわよ!男子ってホントわかりやすいってだけよ!」

二人は相変わらず朝から元気だ。

僕は朝が苦手なので舟をこいでいると、マリュー先生がガラっと音を立てて教室に入ってくる。

「みんなおはよう。ホームルームを始めるわよ。」

「先生!転校生はーーー?」

「ホームルームの後よ。もう少し待っていなさい。」

男子がやっぱり浮足立っている。男子たちは教室のドアを今か今かと期待の目でドアを見つめている。

するとマリュー先生が

「もう、あなたたち仕方ないわねぇ。ホームルームを後にして先に来てもらいましょうか。クラインさんたち入ってきてもらえる?」

教室のドアが開かれる、すると二つの桃色の髪を揺らしながら、うり二つの少女が教室に入ってくる。二人とも整った容姿だ教室の全員息をのむ。

(ラ...ラクス⁉)キラが一人で驚いていると。

「自己紹介お願いできるかしら?」

「ラクス・クラインですわ。海外から来たので少し学習が遅れているかもしれないのでいろいろ教えてくださるとうれしいですわ。」

「ミーア・クラインです。日本は初めてなので、私にもいろいろ教えて下さ~い!」

高いソプラノの声が響く本当にうり二つだ。

そろった声の音域は聞き分けるのが難しいほどに。

まさか、ラクスが双子になってるなんて。

そしてあの頃の美しい容姿も物静かそうなしたたかさもそのままで少しうれしいなと思う。

今度は、ちゃんと友達だけの関係だ。

「そうねぇ~。席は、ヤマトさんのところが二つ空いてるわね。そこに座って頂戴。みんなもいろいろ教えてあげてね。」

「お隣失礼しますわ。えーと。」

「キラです。キラ・ヤマト、キラでいいですよ。」

やっぱり少し他人行儀なのが少し寂しい。

「ありがとうございます。キラ、わたくしもラクスでいいですわ。」

「わたしも、ミーアでいいわ!よろしくね、キラ!」

「うん、よろしくね。ラクス、ミーア。」


ラクスとミーアが転校してきて1週間、いつも道理の四人にプラス二人されて登下校していた。

いつも道理で六人で帰っていると、ラクスが声を突然声を上げる。

「どうしたの?ラクス?何か忘れた?」

「いえ...その従妹に頼んでいたペットロボを今日中に受け取らなくてはいけなくて…」

「アスラン!アスランに会えるの?姉さま!」

アスランという名前にドキッとする。ラクスの従妹なんだ...と驚く。

「えぇ、ですが男子校に二人だけで行くのは少し...」

「男子校?男子校ってZAFT高校?」

ZAFT高校は有名な私立の進学校だ。

ミリアリアが尋ねると。
「えぇ、そうですわ。あそこは広いしたくさん人がいて少し怖くて...」

「そうねぇ、確かに女の子二人は怖いわねぇ。そうだ!フレイもキラも今日は予定ないよね?ついてこーよ!もしかしたらイケメンがいるかもよ~」

「いいじゃない!キラ!あなたも早く彼氏見つけなさい!」

「えぇ、いいよフレイ僕にはそういうのよく分からないし...」

「いいの!いいの!もしかしたらいい人がいるかもしれないんだから!」

と半ば強引にZAFT高校に行くことになった。


ラクスから今日の放課後までに修理を頼まれていたハロの回収を行くとメールが届く。

そのメールを見たラスティが近寄ってくる。

「おーい!アスラーン、ラクスちゃんいつ来るって?紹介してよ~」

「何言ってるんだ、ラスティそういうのは自分で頑張るんだな。」

「え~そんな~。」

全く、ラクスの容姿が整っているのは知っているが、そこまでのものなのか。

昔から社長令息と他人より容姿が整ってるだけで、たくさんの女性からアプローチされたが、あのきつい香水のにおいも顔に塗りたくられた化粧もあまり好きではなかった。

そのうえまだ中学生なのに、大人の女性に既成事実を作られかけて本当に女性が苦手になってしまった。

母と従妹のラクス少しスキンシップが激しいのが苦手だがまだ話せるミーアくらいにしか女性と素で話せなくなっていた。

のだが...ラクスからメールで

「ごめんなさい、アスラン、ミーアとわたくしだけで男子校にいくのは心細いので女性の友人を四人連れて行っていしまってもいいでしょうか?その中のお二人はもうお相手もいらっしゃいますし、あとの二人もおとなしい方ですわ。」

思わず固まってしまった。知らない女性があと四人くるってだけで体が少しこわばる。

その日の放課後、ラクスから電話がかかる。

「もしもし?ラクス?」

「もしもし。アスラン、校門の近くにつきましたわ。ごめんなさいお忙しい中こちらがそちらに伺いましょうか?」

「いや、こちらから行きますよ。」

「ありがとうございます。待っていますわ。」

電話を切るとラスティとディアッカが近づいてくる。

「ラクスちゃんきたって~?いいな~かわいい従妹がいて!」

うるさいラスティとディアッカを無視して校門に向かう。

校舎を出ると校門にピンクの後頭部といつも見ない頭が見える。



「ラクス。」

名を呼ぶと、六人が振り返る。

その中の一人に自然に目が行く。胸まできれいに切りそろえられた茶色の髪。少し伏し目がちなぱっちりとしたアメジストの瞳。

初めて女性を美しいと思った、体に電流が走ったようだった。彼女から目が離せない、けれど彼女が彼氏持ちかもしれない。

後でラクスに聞こう。そう思ってラクスに修理した、ハロを取り出そうとしたら。

「アスラン!久しぶり!ミーア会えてうれしい~。」

「ミーア、久しぶりだな。ラクス、これハロ修理しといたから。」

「えぇ、こんなに押しかけてごめんなさい。ピンクちゃんの修理ありがとうございますわ。」

「あぁ、このくらいならいつでも...。」

ラクスとアスランとミーアがそう話している間に、キラ達はあたりを見回す。

「本当に、男の人しかいないんだねぇ。」

「当り前じゃないここに女の子いたら、男子校じゃないわよ。」

「そ、そうだよねぇ。すごいねフレイ冷静だね。」

「まぁサイが男子校出身だからね。」

「まぁそうだよなぁ。」

「アスラン、遅くなりましたが紹介いたしますわ。左から、カガリさん、フレイさん、ミリアリアさん、キラですわ。皆さんこの方が私とミーアの従妹のアスランですわ。」

するとミリアリアがフレイに小さい声で話しかける。

「ねぇねぇ!フレイ、ラクスの従妹の人すごいキラのこと見てない?」

「キラは、気づいてないようねぇ。ふーん面白そうじゃない。」

フレイは、不敵な楽しんでいるような笑みを浮かべる。

ラクスとアスランの話が終わったようで。

ラクスがピンクの球体のロボットを抱えて、振り返る。

「皆さんついてきてくれてありがとうございますわ。アスランもどうもありがとう。」

「あぁいや、いいんだ。また夜少しメールをしてもいいか?」

「えぇ、ここでは言えないことですか?」

「あぁ、少し。」

「分かりましたわ。ではまた夜に。」

その日の夜帰宅してから、ラクスから電話がかかってきた。

「もしもし、キラ夜分遅くにごめんなさい。アスランからキラのメールを聞かれていて...教えてもいいでしょうか?」

頭がフリーズする、アスランは記憶がある?

そう思ったけれど、よくフレイとかカガリとかを狙って聞いてくる人もいるからそういうことなのだと一人で理解する。

(それは、キラのメールを聞き出すためなのを本人は知らない。)

そう思ったら思ったで少し心に穴がぽっかりあいた感じがする。

「いいよ。どうして知りたいのか聞きたいけど。」

「あらあら、キラは本当に可愛らしいですわね。」

「?ラクス?どうゆこと?」

電話越しにラクスの笑い声が聞こえる。

なんだか楽しんでいるような…

「いいえなんでもありませんわ。わかりましたわ。アスランに教えますね。」

「う、うん。でもあんまり男の人とメール続いたことないから、交換してもアスランさんも楽しくないかも?」

「ふふふ、そこは多分大丈夫ですわ。もしアスランが何か言ってきたらわたくしに行ってくださいね。」

「うん、ありがとう。ラクス。」

まさかアスランのほうから話かけてくるなんて、前世の彼はそんなに積極的だっただろうか?

やはり性格は変わっているのだろうか?...わからない。

思考の海にさまよっていると、携帯が震える。

中身を見るとアスラン・ザラと書かれたアドレスからメールが来ている。

メールを開くと。

「アスラン・ザラです。初めまして。君に興味があったからラクスにメールを教えてもらったんだ。」

僕に興味があるってどうゆうことなんだろう?フレイやカガリのことを聞きたいのではないのだろうか。

少し考えてから返信する。

「アスランさん初めまして。キラ・ヤマトです。興味があるって僕にですか?」

すぐ既読がついて返信される。

「うん、ヤマトさんに興味があるんだ。来週の日曜日予定空いていたらに一緒に近くの水族館に出掛けないか?返信待ってる。」

早速、お出かけに誘われてしまった。

前世のアスランとのギャップについていけないけれど、許されるなら少しでも近くにいたいと思う。

最終的に隣にいる人が自分以外になるだろうから。

「来週の日曜日空いてます。僕でよければ、その異性の方と二人で出掛けるのは初めてで。なれないことのほうが多いと思いますが…」

返信ボタンを押して、携帯の電源を落としてクッションを抱きしめる。

年甲斐もなく浮かれている。

いまだに信じられない、前世では戦時中でともに出掛けるなんて物資の買い出しくらいだったから。

うれしいと思う。

放課後に会った、彼女のメールをラクスから聞き出すことに成功し、来週の日曜日ともに出掛ける約束をすることに成功する。

メールを聞き出すときラクスにはとんでもなくからかわれたが、仕方がない今まで女性は苦手だったし。

そんなことより次会うときは二人きりだと思うと、少し緊張する。

こんな気持ちになるのは初めてのはずなのに、彼女を思うと少し懐かしい気持ちになるのはなぜなのだろう。

それに、あんなに可愛らしい容姿で異性と出掛けるのが初めてなのは浮かれてもいいのだろうか。

こんなに、日曜日が来るのが遅いと思ったことはない。

次の日の朝、教室でカガリとフレイとミリアリアに来週の日曜日アスランに水族館に誘われた。と話したら。

「ダメだ!そんな危ない所に一人で行くなんて!」

「あらぁキラやるじゃない。行ってきなさいよ、あのザラのお眼鏡にかなうなんてさすがね。」

「すっごーいキラ行ってきなよ!」

「異性とお出かけなんて初めてだから…」

「あらあら、アスランは意外と積極的なんですねぇ。」

突然後ろからラクスが声をかけてくる、そういえば今日はミーアが風邪を引いたとか。そのせいで朝は一緒じゃなかったのだ。

「ラクス、おはよう。」

「おはようございます。キラ、土曜日に私がお洋服など選んでもいいですか?」

「どうして?いつものでも...「いいわけないでしょ!あなたいつもズボンしか履かないんだから!そうねぇラクス私もついて行ってもいいかしら?キラ覚悟しなさいしっかり可愛くしてあげるわ!」

「フ、フレイ?」

「いいですわフレイさん行きましょう!」

「ら、らくす…どうしよう…ミリアリアぁ。」

「あらいいじゃないキラ、たまにはスカートとか履きなさいよ。いい機会じゃない。」

「う、うん」


次回、初めてのデートと黒柴お楽しみに。





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