大切


「それがお前の運命だからだ!」

振り下ろしたビームサーベルは、空を切りその瞬間に期待に大きな衝撃と同時に無数もの針が迫っていた。
急いで身をよじる、フリーダムもフェイズシフトダウンし、転んでしまう。

「そいつはあたしが貰うっ!!!」

後ろから来たアグネスにコックピットを狙われる。

今度こそダメだと思った、まだ誰にもサヨナラを言えていない。

ラクス、は無事だろうか。やはり僕を裏切ったのか....

カガリ、最近顔を見ていないが元気にやっているだろうか。

シンとルナマリアも可愛い部下たちなのに、無理をさせてしまったと思う。シンはジャスティスを託した時嬉しそうだったな。

アスラン、今1番会いたい人なのだろうか、お互い違う組織にいる上に階級もなかなかなもので、恋人なのにずっとメールだった。

まだ君と一緒に居たかった。


(まだ、まだ死ねない!)

幸いギャンは急所のコックピットを外したようで、急いで離脱する。
まさかアグネスにこんなに恨まれていたなんて....
唖然とする、しかし彼女が乗っているのはMS今自分は生身だ、これから自分がどうなるなんて一目瞭然だ。

今度こそ....もうだめなのだろうか…


その時ギャンの体制が崩れる。

「何っ!」

そこには、赤いアンノウン機体がいた。



急げ!早く行かないと、キラの身が危ない。
そう思うだけで手に力が入る。

急いでフリーダムの反応がある場所に行くと、
フェイズシフトダウンしているライジングフリーダムと、近くにパイロットスーツを着たキラにトドメを刺そうとしているギャンがいた。


背に嫌な汗が落ちる、咄嗟にズゴックに積んでいたミサイルを発射する。

「キラッ!」

「アスラン!?」

少しの安堵まだキラの体の状態が分からないが生きてはいることに安心する。

しかし、それどころでは無い早くシヴァを何とかしなければ。
すぐさま意識をそっちに切り替える。

シヴァが刃を振り下ろしてくる、その刃を鉤爪で受け流す。
すぐさま飛んできた攻撃を翼のビームカッターで受ける。

(ッできる!)

パイロットの技量に驚く、パイロットスーツを着ていないせいなのか分からないがすぐに息が上がってしまう。


すると、シヴァがギャンを抱えて離脱して行く。

何とかシヴァを退けて、急いでキラをコックピットの中に入れ膝の上に乗せる。

「キラ!無事か?」

「あすらん?」

「あぁ、俺だキラどこか痛むところは?」

キラが呼吸をしている事に再度安堵する。
外傷をチェックしながらズゴックをオートに設定する。
(本当に無事でよかった....)

「僕を殺しに来たんだアグネスは僕が憎くて。」

「キラ?」

「僕がいるから!沢山人を殺してしまった僕がコンパスの指揮官に居るから!」

「キラ!」

彼は聞こえていないようだ錯乱している、息も荒い、目の焦点もバラバラだ。


「だから、シン達を危険にさらしてしまった、ラクスもきっと僕を裏切った!」

「キラ、キラ!!」

名を読んでも、戻って来ないどころかどんどん息が過呼吸になっていく。
パニックのせいなのだろうか、ヘルメットのバイザーに吐瀉物がついている。

急いでヘルメットを外してやる、少しでも息を吸いやすくするために。

それでも、息は上がったままただでさえ細い彼の胸が苦しそうに上下する。

「はぁ、はぁっ。」

「くそっキラ、戻ってこい。」

彼に口付ける、少しでも多く肺に空気を送り込む。

「ふっ、んっ....ふぅ....はぁ....んむぅ」

「あ、あれ?アスラン?僕は。」

少しずつ、目に焦点があってくる。



苦しい、苦しい息が吸えない、吸う方法を忘れてしまったようだ。

目の前にアスランがいるように見える、不思議だ彼は今ターミナルにいるのに。

口付けられる感覚、息を吹き込まれる。
少しずつ目の前のぼやけが取れてくる。


「キラ!大丈夫か?意識はあるか?俺が誰だか分かるよな?」

「分かるよ、アスラン。アスラン・ザラでしょう?」

「あぁ、無事で良かったキラ、本当に無事で。」

「ごめんアスラン心配かけて。」

「かけすぎだバカ。」

相当心配をかけていたのだろう、普段冷静なアスランがこんなに汗をかいている。
そんな彼に少し嬉しいと感じてしまう。

「シン達は?」

「あぁ、無事だよ。アークエンジェルの人たちも。今はターミナルのファクトリーに向かっている。」

「ラクスは?」

「....彼女は、分からないファウンデーションのシャトルで離脱したのは分かるが....」

「そう....」

やはり彼女は僕を裏切ったのだろうか。
嫌な思考が渦巻く。

「....キラ。」

彼に呼ばれ彼の方をむくと。

(!?)

思ったより近くに彼の顔があり、びっくりする。と同時に顔に熱が集まる。


キラの名を呼ぶ、振り向いたキラは一瞬驚いたかと思えば、顔を真っ赤にした。

愛おしくて、唇を寄せる。

「アスラン?....っん....んぅ」

キラの口の中に下をねじ込む、すると驚きながらも迎え入れてくれるキラにさらに愛おしさが込み上げる。

「ふぅ!....んむぅ....んぅ....ぷは!長いよ!」

「すまない、キラが少しでも生きているっていう実感が欲しくて。」

叱られた子犬のような目をされる、この顔にはとことん弱い....我ながらそう思う。
それと同時にそんなに心配をかけていたと思うと申し訳なくなってくる。

「ごめんね、心配かけたね僕はもう大丈夫だから....」

「どこが大丈夫なんだ、外傷も精神的ダメージもあるというのに!」

アスランにこんなに怒られるのは久しぶりでそんなに酷い顔をしているだろうかとも思う。

「色々終わったら覚悟しろよ。キラ分からせてやる俺がどれだけお前のことを思っているか。」

「な!何言ってるの!」

終わり?

おまけ
殴られて分からせられたあと。

「うぅ腰も頬も痛い....」

どうやらキラは殴られたあと抱かれたのが不服らしい。

「頬はお前が弱気なことばかり言うからだ腰は....そうだな俺からの愛だな。」

「何言ってるの、手加減してくれなかったからでしょ。」

と言い頬を膨らますキラ。

「仕方ないだろ久しぶりだったし、キラ以外抱く気にもなれないし。」

「ふーん、僕以外ね....」

「なんだ?嬉しいのか?」

「な!....当たり前でしょ。好きな人にそんなこと言われて嬉しいに決まってる。」

なんだかアスランに全てを見透かされているみたいだ、ラクスの件も、僕の君への気持ちの強さも。
少し悔しいから仕返しを込めて。

「僕だって、アスランだけだよこんなに近くに居るのを許すのは。」

「....キラ、じゃあもう1回頑張ろうか?」

「へ?」

どこのタイミングで彼のスイッチを押してしまったのだろうか。

「いや!もう無理ー!」


その日アスランとキラは中々部屋から出てこなかった。
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