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昔語り

この本丸にはかつて、三日月宗近と鶴丸国永が居た。


「お、きみが新入りか。俺は鶴丸国永。きみは確か三条のだったか。俺は五条でちょっとばかり違うがまあ仲良くしてくれ。」
目覚めたばかりの目には眩しいくらいの白い衣装に白い肌。目だけは黄金で人懐っこく、それでいてどこか挑戦的な色を宿していた。鶴丸国永と言った男は自己紹介の様なものを終えると、少し冗談めかしてお辞儀をし、こちらに促す様な視線を向けた。
それに気づき、「俺の名前は三日月宗近。生まれは確かに三条だ。平安からこの世にいるゆえ、まあ要するにじじいさ。」と、自分でも驚くほど容易に言葉が出てきた。(話し方すら先程まではわからなかったのに何故だろうか。)
「はっはっは、何言ってる。俺だって生まれは平安さ。だが俺は自分がじじいなんて思っちゃいないぜ。まだまだ動けるなうでやんぐな男さ。」軽快な笑いと共に彼は答えた。
「きみは何故ここで人の姿を得たのかはわかるな?一応言っておくと、過去の歴史を改変しようとしている時間遡行軍を止め、本当の歴史を守るためだ。まあ、やるべきことはこれなんだがせっかく人の身を得たんだ。もっと他にもやれる事はごまんとある。要は楽しんだ者勝ちってやつさ。」
いかにもこの状況が楽しくてたまらないんだとばかりに彼は言った。
「やる事は色々あるがその前に。ここの勝手を教えてやろう。ついてきな。案内しよう。」
「あい、わかった。よろしく頼むぞ。」
これが三日月宗近と鶴丸国永の邂逅である。
彼らはまだ、これから起こる悲劇など、想像していなかった。
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