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「今日から4月か…。一年があっという間だな」
「土門さん、言い方がオヤジ臭いわよ」
「俺はとっくにオヤジだ」
「そういえば、そうね」
「おいっ!」

いつものように顔を見合わせ。
いつものように笑い合う。
そして、いつものように並び立つ。

365日、屋上は変わらない。
季節ごとに見せる顔は移ろい行くが、静かに二人を見守る姿は十数年経ってもそのままだ。

しかしその間に、二人には少しずつ変化があった。
自分の気持ちに気づき、悩み、苦しみ。
相手への思いを秘め、耐える。

まるで、春を待つ桜のように。

そして、この温かく佳き日に。
ようやく蕾は綻び、淡い花弁を開くのだ。


「来年もこんなこと言ってるのかもな、俺たち」
「そうかもね。いえ、そうだったらいいと思うわ」
「お前もか?」
「ええ。土門さんも?」
「ああ。来年も、再来年も、その先も…」

「「ずっと」」

重なる魔法の言葉。
それが何を意味するのか、確認する必要もないだろう。二人なら。

ところが。

「おい。まさか、エイプリルフールじゃないよな?」

急に心配になった土門はそんなことを言う。
『エイプリルフール』なんてこと自体忘れていたマリコは「?」な表情だ。

「相変わらずだな。でも、エイプリルフールにはさせない」

速やかに行動に移すべし。
土門は目の前の細くしなやかな桜を抱きしめた。

やがて土門の腕の中で、白い頬はピンクに染まる。

「ああ。綺麗だな」

ようやく独り占めにできた桜を、土門は飽くことなく愛でるのだった。



(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」


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