心理テスト、してみませんか?[第2弾]
②の前脚の肉球を選んだあなたは…“ハプニング的なタッチに”
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「蒲原さん、これ鑑定書ね」
「ありがとうございます…っと!」
マリコから蒲原へ。
受け渡されるはずの封筒が、一瞬、タイミングがずれてしまった。
お互いに手を伸ばし、床に落ちる寸前で二人の手が受け止めた。
「ごめんなさい!」
「俺の方こそ!」
触れ合った手はするりと離れ、二人は忙しく職場に戻っていった。
「榊、こいつの鑑定を頼む」
大股で科捜研に入ってきた土門は、鑑定依頼書を振り回しながら、マリコを呼ぶ。
「今、手が離せないの。持ってきて」
「わかった」
マリコのラボにズカズカと踏み込むと、「頼むな」と土門は依頼書を手渡す。
マリコは電子顕微鏡をのぞきこみながら、手だけを出した。
その上にポンと資料が置かれる。
と同時に、二人の指先がほんの少しだけ触れ合った。
「!?」
思わず手を引っ込めたマリコのせいで、資料は床に散らばった。
「気をつけろ」
土門は床から紙を拾い上げ、ページを確認しながら、丁寧に重ねていく。
肉厚で質感のある手のひら。
繊細にページを繰る指使い。
それらがマリコに火を点ける。
蒲原さんの時には何も感じなかったのに…。
「ほら。頼むぞ」
改めて向けられた手を、マリコはまじまじと見てしまう。
土門はそんなマリコの様子に苦笑した。
「何を想像しているのか知らんが。そんな熱い眼差しを向けるなら、今夜はうちに来るよな?」
それは質問ではなく確認。
角柱の影で。
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