心理テスト、してみませんか?[第2弾]


①の鼻の先を選んだあなたは…“匂いや声がきっかけで”

*****

「おっ、降ってきちまったな」

雲の垂れ込めた空からは、ザァーと雨のシャワーが流れ落ちる。

「私、傘持ってないわ」

「俺もだ。雨宿りができそうな場所まで走れるか?」

「ええ。…え!?」

バサッとマリコの頭上に降ってきたのは、雨粒ではなく土門のジャケットだった。

「被っておけ」

「でも、濡れちゃうわ」

「お前が濡れるよりマシだ。行くぞ!」

手を引かれて走る間中、マリコはジャケットから仄かに香る持ち主の匂いにドギマギしていた。
一緒にいる時には気づかないけれど、こうしてずっと香りに包まれていると…。

「ここに入ろう」

土門の声にマリコの思考は停止した。

シャッターの閉まった店の軒先で、二人は雨を凌ぐ。

「あの、ありがとう」

「おう」

ジャケットの雨粒を払うと、マリコはお礼とともに土門へ返した。
それを受け取りながら、土門はぷっと吹き出す。

「なに?」

「髪が跳ねてる」

楽しそうに笑いながら、土門は手を伸ばしてマリコの髪を整えてくれた。

「直ったぞ」

耳元への囁きは、不意打ちだ。

「あり…がと……」

マリコは赤くなる顔を隠しきれずにいる。

「榊?」

「府警まであと少しだし、もう濡れてもいいわ。帰りましょ」

いたたまれなくなったマリコは、この場を逃げ出そうと試みた。

「おい、待て」

腕を引かれた勢いで、マリコは背中から土門の胸の中へ。

「何でそんなに赤い顔してる?」

「し、してないわ」

「刑事を騙せると思うのか?正直に言わんと、ずっとこのままだぞ?」

このまま…とはすなわち、あすなろ抱き。

「離して。人に見られるわ」

「俺は構わん」

「もう!」

「で?」

こうなっては、土門は本当に開放してはくれない。
マリコは嘆息し、くるりと体を反転させた。

踵を上げて。

「今夜、教えてあげる……」

耳元へとびっきり甘く囁いたのは、さっきのお返し。



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