シーサイドパニック
海には入らずに見ているというマリコと、それに付き合うことにした土門は、日除けパラソルの下で留守番をしていた。
「ねー、マリコさんと土門さん、どうしてるかなぁ?」
呂太はイルカの浮き輪でのんびり波に浮いている。
「今ごろ日焼け止めの効果を実証実験してたりして!?」
亜美はお団子を揺らして、ころころと楽しそうに笑っている。
そのころ。
「……なんて、あいつら思ってるんだろうな?」
「まさか…!」
マリコは笑う。
「実証実験するのはいいが、その前に……」
土門は日焼け止めを取り出すと、マリコと向かい合って座り、その足を自分の膝の上に乗せた。
「土門さん?な、なに?」
土門は白い日焼け止めクリームをゆっくりとマリコの足に塗っていく。
「土門さん!日焼け止めならもう塗ったわ!」
「日焼け止めは数時間ごとに塗り直さないと効果がないんだぞ?」
「え、そうなの?」
マリコらしいと土門は苦笑しながら、尚も滑らかな肌に手を滑らせる。
何度も往復する土門の手のひらの感触に、マリコはだんだんと落ち着かなくなってきた。
もぞもぞと足を動かし始めたマリコに、土門はほくそ笑む。
まだ誰も戻って来そうもないことを確認すると、手のひらをショートパンツの裾に忍び込ませた。
「え?ちょっと……」
慌ててマリコはショートパンツの上から土門の手を押し返す。
そうしている間に、今度は反対の手が忍び込んだ。
水着のラインギリギリを土門の親指がすっとなぞる。
「やんっ!もう!土門さん!!」
その時必死で逃げ出そうともがくマリコの足が、見事、クリーンヒットをもたらした。
「ぐっ!………」
「きゃぁ!ど、土門さん!?」
いたずらはほどほどに……って、誰かが言ってました、よね?(笑)
「ちょっとトイレだ…」と苦しげに眉を潜めた土門は腰をかがめ、そそくさと海の家へと向かった。