『密着!どもマリ24時』(捻挫編)

in bedroom




「じゃあ、寝るか?」
「ん。お休みなさい……」



二人が寝入って暫くすると、もぞもぞと動く気配に土門は目覚めた。

「榊?」
「ふっ、ふうっ……」
「榊、榊!?」

土門が部屋の灯りを付けると、マリコは汗ばんだ赤い顔で荒い息を繰り返していた。
額に手を当てると、かなり熱い。

土門はすぐにキッチンへ向かい、氷枕とミネラルウォーターを手に戻ってきた。
ベッドの脇に置いておいたタオルでマリコの額の汗を拭う。
マリコの頭を持ち上げ、氷枕を差し入れると、明らかに気持ちよさげに喉を反らせ、息を漏らす。

土門はマリコの喉に溜まった汗も拭き取ってやった。
ごくりと喉が上下に動く。
こんなときに不謹慎だと思いながらも、その白く艶かしい喉元に、土門の目は釘づけになった。

「んんっ……」

マリコの声にはっと我に帰った土門は、ペットボトルに手を伸ばした。
早月から預かっていた解熱剤を一錠押し出すと、自分の口に含む。
そしてマリコの顔を覆うように伏せると、その口に舌で薬を押し込んだ。

「んっ!」

続けてすぐにミネラルウォーターをマリコに口移す。
ごくっと飲み込んだのを確認すると、含みきれずに口の端を流れる水滴を土門はペロリと舐めとった。

いつもの甘い唇は今日は熱を持ち、より熱く、赤く熟れていた。
土門はマリコの負担にならぬよう、近づけた唇で名前おもいだけを届ける。
何度も、何度も。
やがて、うっすらとマリコの瞳が開いた。

「榊、辛いか?」

マリコは涙の膜が張る瞳を揺らめかせ、口を動かす。
音は発せられずとも、自分の名前を呼んでいることはわかる。

「大丈夫だ。ずっとそばにいる……」

土門は痛めた足を避けるようにして、マリコを自身の胸元に包み込んだ。
燃えるように熱いマリコの体も、時間が経つにつれ少しずつ落ち着いてきたようだった。
やがてマリコは土門の心音に、土門はマリコの寝息に誘われるように、いつしか眠りに落ちていった。




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