日常の一コマシリーズ≪vol.2≫





「土門さん、今日はマリコさんの誕生日なんですね!」

何気ない蒲原の一言に、土門の眉がぐいっーと持ち上がる。

聞けば、朝からマリコの元へは、プレゼントを持った男どもがひっきりなしに訪れているという。
何故だか、赤や青の箱の菓子を贈る婦警もいるとは言うが……。

数日前からプレゼントが決まらず、悶々としていた土門の機嫌は最高潮に……悪かった。


「俺たちも何か用意しますか?」

空気の読めない男、蒲原に『勝手にしろ!』と八つ当たりをかますと、土門は頭を冷やすためにブラックコーヒー片手に屋上へ向かった。

苦味の強いブラックをぐびぐびと胃に流し込むと、ほっと息をつく。
蒲原に悪いことをしたな…と思っていると、全ての元凶がやってきた。


「土門さん、休憩?」
「ああ。まあな……」

「榊。今日、誕生日だったな?」
「なあに?プレゼントくれるの?」
くすくす笑うマリコには見透かされている気がする。

「いや……。実は…何がいいのか分からなくてな。用意していない……すまん。何か欲しいものはないか?」

マリコは顎に人差し指を当て考え込む……。

「じゃあ、これ」

マリコは土門が飲みかけた缶コーヒーを指差す。

「別に構わんが……。こんなの誕生日じゃなくてもくれてやる。でも飲みかけじゃなく、新しいのを買ってきたらどうだ?」
そういうと、土門はポケットから小銭を取り出そうとする。

「いいの」
マリコはひょいと土門の手からコーヒーを奪い、コクンと一口いただく。

「……………苦い」
「だから、新しいのを買えと言ったんだ」
土門は呆れ顔だ。

「だって、土門さんのが欲しかったんだもの」
「……………!?」

マリコはさらりと言うが、今のは爆弾発言ではなかろうか?
土門の目が大きく開かれるほどには。

「と、とにかく、欲しいものを決めておけ!いいな?」
「んー……。実はあるんだけど」
「なんだ?先に言えばいいだろう」
「だって………」
「言ってみろ」

マリコがねだったものに、土門はしばらく考え込んだ。
しかし結局は『毎日じゃなくていい』という条件付きで了承したのだ。

「で、初日はどうする?」
「ええと、7時でいい?」
「ん」

ちょっと待ってろ、そう言い残すと、土門は一旦屋上を出ていった。
数分後に戻ってくると、マリコの手のブラックとカフェオレを交換した。

そしてそのまま右手をあげると、屋上を後にした。

マリコはカフェオレに口をつける。

「美味しい。………甘くて」

それは、まるで今のマリコの気持ちのようだった。


マリコさん(の中の方)✨Happy Birthday!✨の一コマである。




fin.



■■■ どもマリに、一コマな質問…など(笑) ■■■
*管…わたくし、管理人でーす(^^)/


【 A.M. 7:00 】
マリコのスマホが振動する。

(マ)ん……。どもん…さん?おはよ……

(管📞)『キャー( ☆∀☆)マリコさん、おはようございます♪』

(マ)えっ……。えぇっ!管理人さん!?

(管📞)『イエス!なるほど、モーニングコールがプレゼントとは……。マリコさん考えましたね!ムフフ♡』

(土📞)『管理人、こんなに朝早く何の用…………。ああっ!おいっ!お前、勝手に何してる?💢 誰にかけてるんだぁ!!!』

マリコの耳に土門の怒りの叫びが届く。

(管📞)『マリコさんですよ?』
(土📞)『しれっと言うな!スマホ、返せっ!!』
(管📞)『ふーん……』
(土📞)『なんだ?』

(管📞)『そりゃ、毎日はできませんよねぇ?』
(土📞)『……………』

(管📞)『となりで起こす日の方が多そうですもんね?(  ̄▽ ̄)♡』

(土📞)『……………』
(マ)……………




1/17ページ
スキ