『密着!どもマリ24時』(休日編)
after brunch
遅めのブランチをとった二人は、マリコの希望でまず本屋へ向かった。
時間が経つのを忘れる勢いで専門書コーナーに立ち尽くすマリコを、土門は引きずるように連れ出す。
「目的は別だろう?」
「あ!そうだったわ」
「おいおい……」
しばらくぶらぶら散歩しながら向かった先はフリーマーケット会場だ。
「ここだな。しかし……お前、フリマに興味あったのか?」
「ええ。色んなものがあって楽しそうじゃない!この前来たときは、白いシャツを探して買い漁る時間しかなかったんだもの……」
土門はその時のことを思いだし、苦笑する。
「そういえば、蒲原も白シャツまみれで、へろへろになってたな。それで、何を探すんだ?」
「何も」
「?」
「ただ、色々見て回りたかったの。ダメ?」
上目使いで聞かれて、否定の言葉を返せるわけがない。
土門はマリコのペースに合わせて、一緒に歩き出した。
昔懐かしい玩具が並んだ店の前で、二人は『ああだ』『こうだ』と、子どものころの思い出話に盛り上がる。
「俺はベーゴマが得意だったんだ……」
「私は自分でシャボン玉作ってたわね」
「自分で……か?」
「ええそう!どのくらいの濃度にしたら割れにくいのか?とか検証してたの」
「………お前、らしいな」
土門の苦笑にマリコは『?』の表情だ。
次にマリコが足を止めたのは、陶器の並んだ店だった。
すべて店主の作品だという。
その中で、マリコはペアの湯呑みを手に取った。
「きれい……」
シンプルな筒状なのだが、鮮やかな青緑色が目をとらえて離さない。
「ああ。いい色だな」
土門も目を見張っている。
「これ……」
「いいんじゃないか」
土門はマリコが言い終えるより先に二つを手に取ると会計へ向かう。
戻ってくると、マリコが申し訳なさそうに『ありがとう』と言う。
「いや。お前のじゃない、俺のだ」
「えー!?」
「お前も気に入ったみたいだからな、片方はやる」
途端にむくれた顔を綻ばせるマリコを、子どものようだと土門は笑い、同時に優しい視線を向ける。
「ただし、俺のうち用だぞ!」
眉をくいっと上げた土門に、『分かったわ…』と渋々マリコは頷く。
「まあ、使いたけりゃ、うちに来ればいいだけの話だ」
土門は言い終えると、ふいと顔を逸らす。
耳が赤らんでいるのを、マリコは見逃さなかった。
「じゃあ……。しばらく通っても、いい?」
「……好きにしろ」
マリコはくすっと小さく笑うと、するりと土門に腕を絡めた。
「榊?」
「非番なんだし、いいでしょ?」
流れる風が隣から甘い香りを運んでくる。
久々にいい休日だと、土門は空を仰いだ。
遅めのブランチをとった二人は、マリコの希望でまず本屋へ向かった。
時間が経つのを忘れる勢いで専門書コーナーに立ち尽くすマリコを、土門は引きずるように連れ出す。
「目的は別だろう?」
「あ!そうだったわ」
「おいおい……」
しばらくぶらぶら散歩しながら向かった先はフリーマーケット会場だ。
「ここだな。しかし……お前、フリマに興味あったのか?」
「ええ。色んなものがあって楽しそうじゃない!この前来たときは、白いシャツを探して買い漁る時間しかなかったんだもの……」
土門はその時のことを思いだし、苦笑する。
「そういえば、蒲原も白シャツまみれで、へろへろになってたな。それで、何を探すんだ?」
「何も」
「?」
「ただ、色々見て回りたかったの。ダメ?」
上目使いで聞かれて、否定の言葉を返せるわけがない。
土門はマリコのペースに合わせて、一緒に歩き出した。
昔懐かしい玩具が並んだ店の前で、二人は『ああだ』『こうだ』と、子どものころの思い出話に盛り上がる。
「俺はベーゴマが得意だったんだ……」
「私は自分でシャボン玉作ってたわね」
「自分で……か?」
「ええそう!どのくらいの濃度にしたら割れにくいのか?とか検証してたの」
「………お前、らしいな」
土門の苦笑にマリコは『?』の表情だ。
次にマリコが足を止めたのは、陶器の並んだ店だった。
すべて店主の作品だという。
その中で、マリコはペアの湯呑みを手に取った。
「きれい……」
シンプルな筒状なのだが、鮮やかな青緑色が目をとらえて離さない。
「ああ。いい色だな」
土門も目を見張っている。
「これ……」
「いいんじゃないか」
土門はマリコが言い終えるより先に二つを手に取ると会計へ向かう。
戻ってくると、マリコが申し訳なさそうに『ありがとう』と言う。
「いや。お前のじゃない、俺のだ」
「えー!?」
「お前も気に入ったみたいだからな、片方はやる」
途端にむくれた顔を綻ばせるマリコを、子どものようだと土門は笑い、同時に優しい視線を向ける。
「ただし、俺のうち用だぞ!」
眉をくいっと上げた土門に、『分かったわ…』と渋々マリコは頷く。
「まあ、使いたけりゃ、うちに来ればいいだけの話だ」
土門は言い終えると、ふいと顔を逸らす。
耳が赤らんでいるのを、マリコは見逃さなかった。
「じゃあ……。しばらく通っても、いい?」
「……好きにしろ」
マリコはくすっと小さく笑うと、するりと土門に腕を絡めた。
「榊?」
「非番なんだし、いいでしょ?」
流れる風が隣から甘い香りを運んでくる。
久々にいい休日だと、土門は空を仰いだ。