日常の一コマシリーズ
「おい、榊。今、時間あるか?」
「あ!ごめんなさい。今から洛北医大なの……土門さん、また後で」
「あ、ああ」
片手を振ると、パタパタと慌ただしくマリコは土門の前を走りすぎて行った。
それから、2時間後。
「榊、ちょっといいか?」
「ごめんなさい。刑事部長に呼ばれているの!」
「そうか……」
再び、白衣を翻してマリコは立ち去る。
さらに1時間後。
土門はようやく屋上で休憩するマリコを捕まえた。
「おい、榊!」
「あ、土門さ……」
♪プルプルプル……
「はい、榊。……わかった、すぐに戻るわ」
「お、おい……」
マリコは土門の手から缶コーヒーをいただくと、ちらりと視線を向け、小走りに屋上を後にした。
「……………」
土門はぐいーっと眉を上げる。
そして腕を組み、マリコが立ち去った方角を睨み付けた。
「気に入らん!」
それから3時間後……。
皆が帰宅した科捜研で、一人残業していたマリコのもとを土門は訪れた。
「入るぞ」
「ど、土門さん!?」
突然開いたドアの音と声に、集中していたマリコはギクリと肩を上げた。
「び、びっくりさせないでよ……」
「すまん……じゃなくて。お前、今日一日俺を避けていたな?」
「な、何のこと?」
「とぼけても無駄だぞ」
土門がマリコへ近づく。
焦ったマリコは椅子から立ち上がると、間一髪、スルリと土門の脇を抜け、部屋から出ていこうとした。
そのとき。
――― ザッ、ザッ。
何かを振るような音が鳴る。
マリコはピタリと足を止めた。
振り返ると、土門がニヤリとした表情で赤い箱を手にしていた。
「そ、それ……」
「腹が減ったから、一緒に食べようかと思って持ってきたんだが……お前は忙しそうだからな。俺だけいただくとするか!」
土門はピリピリと箱を開け、中身を取り出す。
「…………土門さん!」
「何だ?」
「……わ、私にもくれない?」
「……………」
『どうするかなー?』という顔の土門に、マリコは自分から近づく。
そして、その手のものを奪おうとした。
しかし、土門に阻まれる。
「お前、昨日の約束はどうした?約束を守るんなら、これはやる」
「……いじわる!」
マリコはぷくっと頬を膨らませる。
「約束は、約束だろう?」
実は昨夜、二人はある勝負をした。
それは、たまたま見た料理番組で作っていた玉子焼きを、どちらが上手く作れるかというものだった。
マリコは『卵焼きなら以前に作ったことがあるから、負けないわ!』と張り切って挑んだのだが……。
これまでの二人の様子から、結果は明らかだろう。
「さあ、どうする?」
「……………………………………(ぼそっ)」
真っ赤なマリコを土門は笑って見下ろす。
そして、ご褒美……とその口に半分に砕いたクラッカーを放りこんでやったのだった。
さて、それからは……?
『マリコも言うこと聞いちゃう美味しさ!』ル○ァンプライムの一コマである。
fin.
■■■ どもマリに、一コマな質問…など(笑) ■■■
*管…わたくし、管理人でーす(^^)/
(管)今回は質問コーナーではなく、時間を少し巻き戻し、二人の様子をご覧にいれますね。 さて、約束って何でしょう?(*´艸`)
*****
「私が勝ったら、一週間、お昼は土門さんの奢りね!」
「お前、まだ俺に奢らせる気か?」
呆れ顔の土門だったが、『いいでしょ?ねっ?』のマリコビームに渋々頷く。
「それなら、俺が勝ったら……名前でも呼んでもらうか」
「名前?そんなことでいいの?」
「ああ。いいか?」
「ええ。いいわよ」
土門は頷くマリコを確認する。
「よし、言ったな。言質は取ったからな」
「土門さん?」
「榊、名前だぞ?苗字じゃないからな?」
「えっ!」
ニヤリと笑う土門と、固まるマリコ。
そして、勝負の結果。
「……………………か、かおるさん(*ノωノ)」
*****
(管)と、いうことだったようです(^^;) それにしても職場だったけど、土門さん……その後大丈夫だったのでしょうか!?(理性が…( ̄□ ̄;)!!)