日常の一コマシリーズ





「あれ?う~ん……あれ?あれ?」
土門に背中を向けたマリコは、先ほどからうなり続けている。

はじめは呟く程度だった独り言もだんだんと大きくなり、土門の耳にまではっきりと聞こえる。

「どうかしたのか?」
土門が声をかける。
「袖ぐりの部分がうまくいかないの……」
見れば、マリコはアイロン片手に土門のワイシャツと格闘していた。

「いいか、こういうときは……」
土門はマリコの背後から覆い被さるようにして、マリコの手のひらごとアイロンを握る。

「脇のラインを軽く引っ張りながら、カーブにそって少しずつゆっくりかけていくんだ」

ボソボソと説明する声がマリコのすぐ耳元で聞こえる。
声だけではない。
息継ぎの際、空気の震える音や、吐き出された息がマリコの耳にダイレクトに伝わる。
意識するつもりはなくても、そんなつもりはなくても、マリコは顔が熱を持ち始めているのを感じた。

そんなマリコの様子にちらりと視線を走らせた土門は、さらにマリコの背中へ密着し、肩に顎を乗せるようにしてアイロンを滑らせる。

「わかった!やってみるわ!」
ソワソワと落ち着かないマリコは、そういって土門を振り返る。


ちゅっ♥

思ってもみなかったほど近くにあった土門の頬に、勢いマリコはちゅーする形となってしまった。

「!!!」
かあああ…と赤面して、マリコは慌てて土門から逃げようとする。

「誘っておいて逃げるのか?」
もちろん、土門に逃がす気はなく、マリコはがっちりと囲われる。

「さ、誘ってないわよ」
「ほう。そうか。でもこっちは誘われたと思ったからなぁ……逃がせんな」
「でも、今は………」
マリコは、のしかかるように近づく土門を、背中を反らせて避けようとした。
だがすぐにぐらりと体が傾ぐ。

「きゃあ!」
「おっと!大丈夫か?」
「ええ。ありがとう」
「いや。礼を言うのはこっちだ」
「え?」
「お陰で手間が省けたしな」
「え?え?えー!?」
「……観念しろ」
ニヤリと笑う土門にもお!と言い返しながらも……。

不自然に心拍数の上がるマリコであった。


『メゾンドポリス』のドラマから思い付いた一コマである(笑)



fin.



■■■ どもマリに、一コマな質問 ■■■
*管…わたくし、管理人でーす(^^)/


(管)マリコさん、どうしたんですか?
(マ)え……?
(管)なんだか、浮かない顔してますね……?

(マ)あの……、管理人さん
(管)はい
(マ)私、不整脈かもしれません……
(管)ええ!?Σ(゚Д゚)ど、どういうことですか?
(マ)この前も、突然心拍数が上がったりして。何でかしら……

(管)ふむ。もしかして、それは土門さんと一緒のときですか?
(マ)ええ!どうして分かったんですか?
(管)……(はははっ(^_^;))

(マ)管理人さん?
(管)マリコさん、それはブラックな土門さんにときめいちゃったんですね、きっと!
(マ)!!!(かあぁ……)

真っ赤な顔でそそくさと立ち去るマリコさん。

(管)土門さんが猫可愛がりするの、わかるわ~(笑)


⚠イケナイことをするときは、ちゃんとアイロンの電源を切りましょう(  ̄▽ ̄)b


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