日常の一コマシリーズ
チリン♪
軽やかな鈴の音が鳴る。
チリン、チリリン♪
土門が寝ぼけた様子で目を開けると、胸の辺りに茶色くフワフワしたものがあった。
それが時々ピクッと動くと、何ともこそばゆく、土門はようやくハッキリと覚醒した。
「なんだ?」
昨夜はマリコと一緒に床についたはずだ。
マリコは?
土門が掛け布団をめくると……。
「!!!!!榊!?」
マリコは白い身体を小さく丸めて、土門にすり寄るように眠っていた。
昨夜と違っているのは、髪の隙間からのぞくケモ耳と、土門の足に巻き付くように伸びた尻尾だ。
ゴクリ。
土門は喉をならした。
マリコがピクリと頭を動かすと、再びチリンと鈴が鳴る。
土門がマリコの顔をのぞきこむと、その首には赤い首輪が巻かれていた。
中央に着いた鈴が鳴っていたらしい。
土門は思わず、その首筋に手を伸ばし、鈴に触れる。
軽やかに鳴る鈴の音は、まるで催眠術のように土門を操る。
――― チリン♪
土門は鈴の音に誘われるまま、マリコの茶色い耳に手を伸ばす。
外側をやわやわと、ピンク色の内側をふにふにと触る。
――― チリン♪
その手がマリコの唇へと移動し、親指でなぞる。
ふぁさ、とマリコの尻尾が揺れる。
――― チリン♪
土門は吸い寄せられるように、マリコへ顔を近づける。
――― チリリン……♪
そして……………。
「……さん、土門さん!」
パチッと目を開けると、茶色い毛皮が目に飛び込んできた。
無意識に土門は相手へと手を伸ばし、その身体をぐいっと引き寄せた。
「きゃあ!」
「榊?」
その悲鳴に土門が起き上がる。
マリコはバランスを崩し、土門の胸に倒れこんだ。
「もお!寝ぼけてるの?というより、いつまで寝てるの?」
「ん?」
「ご飯食べに行く約束でしょう?急いで仕事切り上げてきたのに……」
そういえば……と、ようやく土門の頭が回り始めた。
自分は今日は非番で、マリコと夕食をとる約束をしていたのだ。
久々の快晴だからと布団を干し、取り込んだところでお日さまの匂いの誘惑に負けたらしい。
「うたた寝しちまったらしいな」
「うたた寝って……。ずいぶん長いうたた寝ねぇ?」
お腹すいたわ!とマリコはおかんむりだ。
ぷぅと膨らむ頬の下、華奢な首もとを茶色のティペットが覆っている。
――― さっきのはこれか?
目覚めた瞬間、目に飛び込んできたものの正体に土門はようやく気づいた。
「おい……」
「なあに?」
「腹減ってるなら、飯は出前でもいいか?」
「え?……別にいいけど。具合でも悪いの?」
「まあ、悪いと言えば悪いな」
「ええ!?風邪?大丈夫かしら?」
「いや……。半分はお前のせいだな」
「ど、どういうこと!?」
「こういうことだ」
マリコはベッドの上に引っ張りあげられ、土門の腕のなかに閉じ込められた。
ぴったりと重なり合った身体は、服の上からでも土門の変化をイヤというほど感じる。
「……もお!」
「その…マフラーか?そいつが一番の原因だな」
「え?どうして?」
『そんなの言えるか!』と土門は夢の中のケモ耳マリコを思い出す。
そして、尚も口を開こうとするマリコを強引に黙らせ、服のなかに手を潜り込ませた。
やぁん……、その鳴き声が『にゃぁん』と土門には聞こえた。
――― 重症だな……。
額に手を当てため息をつくものの、ケモ耳を思い出すだけで、ニヤ気そうな顔を必死に耐える土門であった。
(色々な意味で)にゃんにゃんの日の一コマである。
fin.
■■■ どもマリに、一コマな質問 ■■■
*管…わたくし、管理人でーす(^^)/
(土)………という夢を見た
(管)ほほう…。で、ご感想は?
(土)言わんでもわかるだろう?
(管)いえ、そこはぜひ聞きたいところですな(  ̄▽ ̄)
(土)ふむ…。それなら交換条件がある
(管)聞きましょう
(土)感想を聞かせてやる変わりに、小説でもお礼画面でもなんでもいい。もう一度、あの姿にお目にかかりたい
(管)うーむ。確約はできかねますが、善処いたします…で、どうです?
(土)まあ、……いいだろう
(管)で、で、ご感想は?
(土)見るからに美味そうだったな
(管)つまり?
(土)……エロかわいすぎだ
(管)(゜_゜)(゜_゜;)(゜_゜;;)
暫し、その場に固まる管理人であった。