日常の一コマシリーズ
マリコと二人、久しぶりに外でランチを済ませ、京都府警へ戻る道を並んで歩く。
大通りの手前で赤信号にぶつかり、二人はしばし足を止めた。
「お前、さっきから何やってるんだ?」
信号待ちをしている間中、隣のマリコは掌を握ったり開いたり、ふにふにと何かを揉んでいる。
「これ?スクイーズって言うんですって!亜矢ちゃんに貰ったの。最近、女の子の間で人気らしいわ」
そう説明して、マリコが手を開くと、まるで食品サンプルのようなメロンパンが乗っていた。
「土門さんも触ってみたら?癖になっちゃうわよ~」
マリコに渡されたそれは、しっとりと柔らかく、手を握ると、ふにゃと形がつぶれる。
そして何とも言えない、絶妙な柔らかさだ。
しばらく土門はふにふにとマリコと同じようにメロンパンを握ってみた。
やがて、少し力を入れてみる。
ふにゅ~っと細長く形が変わり、力を抜くとたちまちもとの形に戻る。
「ね?触り心地が良くて、ずっと触っていたくなっちゃうでしょう?」
マリコは楽しそうに笑って、土門に同意を求める。
しかし、土門はすぐにスクイーズをマリコへ返した。
「そうか?俺は別の方がいい」
「?」
「張りはあるが、絶妙に柔らかくて、触り心地は言うことなしだ」
「何それ?……あ、わかった!赤ちゃんの頬っぺた?」
土門はうんともすんとも言わず、ただじーっとある一点に視線を注いでいる。
マリコは土門の目線を追いかける。
そして……。
「なっ!!!」
「やっとわかったのか?」
土門はニヤニヤと笑うばかりだ。
「ヘンタイ!!!」
「変態で結構!俺も男なんでな」
アハハと高笑いする土門を置いて、マリコは青信号に変わった歩道をずんずんと進んでいく。
しかし、すぐに土門に追いつかれる。
「そんなに真っ赤な顔で、仕事に戻れるのか?」
「もー!誰のせいだと思ってるのよ!!」
やいやいとじゃれあう二人から、やや遅れること数メートル。
「まったく、あいつら…。見てるこっちの方が恥ずかしいぞ」
ぐぐっと藤倉は眉間にシワを寄せ……長いため息をつくのだった。
のどかな昼休みの一コマである。
fin.
■■■ どもマリに、一コマな質問 ■■■
*管…わたくし、管理人でーす(^^)/
(管)ちなみに、今日のランチは何ですか?
(マ)私はおばんざいセット、やっぱり落ち着くのよね~
(土)俺は鯖味噌定食だ。よく分からんが、定食屋へ行くといつも桃井の視線を感じる気がしてな…鯖味噌になっちまう
(マ)いいじゃない!DHAは目にいいのよ?
(土)そうだが……
(管)お約束なので、お聞きします。お支払いは?
(マ)もちろん、土門さん!
(土)どうせわかってるんだろうが?いちいち聞くな!
(管)はいはい。すみませんねぇー!ちなみに、先ほど二人の後ろを藤倉氏が歩いていたことは知ってます?
(マ)………え?
(土)………なに?
(管)ご協力ありがとうございました~。( ̄― ̄)ニヤリ
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