DMGs



ここは京都府警の屋上。
人影は2つ。
一つは刑事のもの。一つは科学者のもの。
開放された空間も、今だけは立場の異なる二人による、二人のための捜査会議の場だ。

「この事件、お前はどう見る?」

「単なる男女関係の縺れによる殺害とは思えないわね」

「お前もか?」

「土門さんも?」

「ああ。捜査本部はそう見ているようだが、それにしては証拠が揃いすぎている気がする。まるでさっさと逮捕してくれと言わんばかりだ」

「背後にある本当の動機を隠したいのかも」

「もしくは、実は犯人は別にいて、身代わりで捕まったか……」

屋上捜査会議は4日前にマンションで発生した男性の殺人事件についてだった。
当初から物証も多く集まり、早期解決が見込まれていた事件だったのだが、昨日、女が出頭してきた。これで事件は解決、とばかりに捜査本部は色めき立った。そのせいで被疑者の取り調べや裏取りに慎重さを欠いていると土門は感じていた。
それと同時に、どうにも気になるのだ。
何かを見落としている気がする。土門の刑事の勘が危険信号を発していた。

「私、もう一度調べてみるわ。何か見落としていることがあるかもしれない」

「現場へ行くのか?」

「ええ。真実の欠片が落ちているとしたら、それは現場よ」

マリコの瞳がキラリと光った。


マリコは土門を従え現場を訪れた。
隅々まで調べ直してみたが、新しい物証は見つけられなかった。
落胆して部屋を出たところで、二人は出かけようとしている隣人を見かけた。

捜査員たちは当然隣人にも聞き込みをしていた。
しかし……。

「捜査資料だと、話を聞いたのは主婦だったはずだ」

「え?」

二人が見かけたのは、女子高生だったのだ。

「あの、すみません。君!」

土門はすぐに女子高生を追いかけた。


二人は興奮した面持ちで府警へ急いだ。
土門は隣の女子高生から重要な供述を聞き出したのだ。

「なに?あの女は犯人じゃない?」

藤倉が顔を上げ、土門を見た。

「そうです。実はもう一人、目撃者を発見しました」

「誰だ?」

「被害者の隣に住む女子高生です」

「女子高生?」

「はい。当初、彼女の母親には聞き込みを行ったのですが、事件当日、母親はパートで留守にしていたため、何もわからないと答えていました。ところが、母親は留守でも、子どもは帰宅して家にいたそうです」

「それで?」

「彼女に尋ねたところ、犯行時刻、隣の部屋から同級生が出ていくところを見たそうです。見知った顔だったので驚いてよく覚えていると」

「同級生?どういうことだ」

「その同級生は出頭してきた女の息子です」

「なに!?」

「恐らく母親と男の関係を疑った息子が男のマンションを訪ね、口論となり殺害してしまった。それを母親が庇っているのではないでしょうか?」

「証拠はあるのか?」

「凶器の包丁には三人の指紋が付着していました。そのうちの一つが、息子のものと合致しました」

答えたのはマリコだ。

藤倉は眉を釣り上げた。
すぐに科捜研からの鑑定報告書を引っ張り出す。
確かにマリコの言う通り、資料には三人分の指紋が検出された旨が記されていた。そのうちの一つは被害者本人の指紋、もう一つは被疑者の指紋、そしてもう一つの指紋は不明となっていた。

「つまり、凶器には被疑者の指紋も付着していたため、それ以外の指紋については調べなかったということか!」

「そうなります…」

「土門、すぐに全員を集めろ!」

「はっ」

鑑識上がりの藤倉は何よりも物証を重視する。それを蔑ろにした捜査をしたとなれば……。

「貴様ら、弛んどる!!!!」

刑事課に激震が走ったことは言うまでもない。



「藤倉部長の雷、久しぶりに聞いたわ」

翌日の昼下り。
今日も屋上には2つの人影。

「確かにな。俺は免れたが、他の奴らはこってり絞られたみたいだ」

「土門さん、お手柄だったものね」

「お前が現場に行くと言い出さなきゃ、あの女子高生には会えなかった。お前の手柄だ」

そんな言葉と優しい眼差しを向けられて、マリコはドギマギしてしまう。

「そ、そう?それなら、お礼に何かごちそうしてもらおうかしら?」

大きくなる鼓動を落ち着かせるための、いつも通りのやりとり。
土門が何か言おうとした時、ちょうどスマホが鳴った。

「呼び出しだ。いいだろう。食いたいものを考えておけよ」

そう言うと、土門はスマホを耳にあて、屋上を去っていった。

ほっとするマリコ。
こんな自分の気持ちを知ったら、土門はどう思うだろう。
でも、マリコは知らない。
雷の後、土門と藤倉が交わした会話を。

「お前たち、いいパートナーだな」

「知ってます」

土門は隠さなかった。
自信に溢れた返事には、マリコに対する信頼と尊敬と、もう一つ大切な想いが込められていた。

「よく言う!」

藤倉は苦笑するしかなかった。


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恋愛におけるパートナーシップとは、お互いを尊重し自立しつつ支え合う、対等で長期的な信頼関係を基盤とした関係性のことです。単なる恋人関係の「ときめき」や「情熱」とは異なり、人生を共にする伴侶として、共に課題を乗り越え、合意形成しながら協力し合うことを意味します。
(AIによる概要より)
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