たかが3音。されど3音。
マリコの捜索は最後の防犯カメラ映像周辺を重点に、Nシステム、ドライブレコーダーの解析、聞き込みと範囲を広げて行われた。
しかし有力な情報は上がってこない。
焦る中、ヒントはひょんなところからやってきた。
「落とし物?」
「はい。地元の小学生が帰り道に拾ったと届けてくれました」
交番勤務の巡査は、マリコのIDカードを手にしていた。
「今日になって、か?」
「それが、拾ったのは昨日らしいのですが、暫くこれで遊んでいたようです。ところがそれを見かけた同級生の女子にすぐに警察へ届けるように怒られて、慌てて持ってきたようです」
「同級生の女子?」
「えっと、奈菜ちゃんとか言ってましたね」
「もしかして、猪俣奈菜か?」
「あ、そう!そうです。ご存知ですか?」
「まあな。なるほど……」
流石、放課後スパイクラブといったところか。
「お手柄だな」と土門は笑った。
「子どもがこれを拾った場所へ案内してくれ」
「はっ!」
そこは日中でも車や人通りの少なそうな細い道路だった。
「ここは先が行き止まりなので、車が少なく、子どもたちの遊び場になっているんです」
「行き止まり?」
「はい。この先はJR貨物のコンテナ置き場なんです」
「………………」
土門は行き止まりまで歩くと、積まれたコンテナにじっと目を向ける。
「このコンテナはこれから運ばれるということか?」
「そのようです。深夜に積み込みの作業を行っていますよ」
「念の為、中を確認したい」
「え?これ、全部、ですか?」
巡査は両手を広げ、広大な敷地に並び、積まれたコンテナを見る。
「そうだ。すぐに捜索許可状を請求する。悪いが君にも手伝ってもらうぞ」
「は、はぁ……」
若い巡査は、ただの落とし物が大変なことになった、と呆然とするのだった。
そしてそれから数十分後、捜査員、鑑識総出でコンテナの検めが始まった。