アラカルト
7000番さまへのお礼コメント
カウンター7000番を踏んでいただき、ありがとうございます!
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屋上へやって来たマリコは、見知った背中を見つけ近寄る。
「ナナ……」
誰かと電話をしているらしく、その口からこぼれ出た言葉がそれだった。
――― え?“ナナ”っていったい誰のこと?
それっきり土門は何も言葉を発せず、電話を切ったようだった。
マリコは踵を返し、屋上を後にした。
――― ナナさん……。土門さんとどんな関係なのかしら?
その夜、土門の腕に囲われたマリコは昼間のことを口にした。
何となく剣のある声になってしまったことは自覚せずに……。
「わははは!!」
ところが、土門は涙を流して大爆笑する。
「ちょっと!」
「いや、すまん。“ナナ”は人の名前じゃなくて、数字の7のことだ」
「え?」
「管理人から電話があってな。7000カウンター達成したと浮かれていたから、いつも通り、お灸を据えていたんだ。年も改まるしな。気持ちも新たに引き締めていけよ、と話したところだ」
「なんだ……」
「しかし…。お前のそれ、何て言うか知ってるか?」
「?」
「焼きもち、だ。この時季にピッタリだな」
土門はニヤニヤとマリコを見る。
「失礼ね!もう!」
そういって、マリコは白い頬を膨らませる。
「おっ、こっちもよく膨らんでるな。俺は焼きもちより、こっちの方が好みだな」
そう言うと、土門はマリコの頬に顔を寄せる。
優しい感触にマリコは頬を染め、見事な焼きもちマリコが完成したのだった。
「もう、土門さんたらっ!」