アラカルト(誕生石ver.)
21000番さまへのお礼
21000番を踏んでいただき、ありがとうございます!
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母の日のプレゼントを探しにジュエリーショップへやって来たマリコと、それに付き合わされた土門は、ブローチのコーナーで立ち止まっていた。
「気になるお品があれば、お出しいたしますよ?」
そばに近づいてきた店員が、二人に声をかける。
そのとき、マリコはその店員の胸元に惹き付けられた。
彼女は首もとのスカーフを同色のスカーフリングでまとめていた。
「あの、…素敵なスカーフリングですね?」
「これでございますか?ありがとうございます。こちらと同じ商品でございますよ」
そう言って店員がショーケースから取り出した平たいトレーには、色とりどりのスカーフリングが並んでいた。
「こちらは全てトパーズでございます。トパーズは熱や光りを当てることで様々な色味を出すことができるので、このようにカラーが豊富なのです」
「素敵ですね……」
暫く見入っていたマリコだったが、気に入ったらしく、いずみに一つ購入した。
母の日用に包装してもらっている間、カウンターのスツールに腰掛け、マリコは店員と何やら楽し気に談笑していた。
その間、商品を見て回っていた土門は、別の店員から小箱を受けとる。
「ああ。ありがとうございます」
すっとその箱をポケットにしまうと、マリコの買い物が終わるのを待つ。
やがて、店員らのにこやかな声に送られ、二人は店を後にした。
ゆっくりと駐車場へ向かっていた土門が足を止めた。
大通りから一本奥へ入ると、途端に喧騒から切り離される。
街頭もまばらな一角で、土門は先程の小箱をマリコへ手渡した。
「なあに?」
「開けてみろ」
マリコが言われた通りにすると、中にはあのスカーフリングが入っていた。
「これ……」
「気に入ったんだろう?せっかくのGWもどこにも行けそうにないしな。詫びのつもりだ。受け取ってくれ」
「そんな……。忙しいのは土門さんのせいじゃないわよ?」
「それでもだ。それに、お前がそういうものを気に入るのは珍しいからな」
「うん。ありがとう……うれしい」
マリコは大事そうに中身を取り出す。
「これ……透明なのね?」
「ああ。お前にはどんな色だって似合うさ。microscopeで着けていたスカーフの紫や、ルビーのイヤリングの深紅。エメラルドのペンダントの
土門は右手をマリコの左頬に添わせる。
そっと上を向かせると、静かに唇を合わせた。
去り際に一度だけ、土門の舌がマリコの淡い唇を味わう。
「さしあたっての俺色は、ピンクらしいな?」
マリコの様子に土門はふっと忍び笑いを漏らす。
どうやら、明日のスカーフの色も決まったようだ。
fin.