500番さまへ




いずみから送られた荷物の中に、伊豆のお土産だと書かれた小箱があった。
開けてみれば、中には小さなガラスの靴が入っていた。
そう、シンデレラが落としていく、あの靴だ。

マリコはそれを、テレビの横のローボードに飾った。


ある日、マリコはその靴の中に銀色の鍵が入っていることに気づいた。
「これ……?」

「ようやく気づいたのか?」
呆れたような声が背後から聞こえた。
「うちの鍵だ。これからはいつでも好きなときに来ればいい」
「あ…、うん」
何となく気恥ずかしくて、マリコはうつ向いてしまう。

土門はそんなマリコのつむじを見ながら、次にガラスの靴へ忍ばせるのはリングの形のアクセサリーにするか、と考えていた。



fin.


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