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ここはプライベートビーチ。
無人の砂浜には大きなパラソルが立ち、その脇にローチェアが2脚並んでいる。
パラソルの柄の部分には小さなテーブルがついていて、色とりどりの南国のフルーツが盛られたドリンクと、洒落た発泡酒のグラスが置かれていた。

波の音しか聞こえない。
それと、時々氷が溶けるカランとした響き。

一方のチェアには、女がうつ伏せで目をつぶっている。
ビキニ姿の彼女は白い肌を惜しげもなく太陽に捧げていた。
首と背中に走る水着の紐は、心もとないほど細い。
そして下半身を覆う布も小さく、形のいいヒップがはみ出していた。

「サンオイルを塗らなくていいのか?」

こんなシーンならお決まりの文句だ。

「んー?」

眠そうな彼女はぼんやりと顔を上げた。

「そうねぇ。塗って…」

それだけ言うと、彼女はまた顔を伏せうとうとしだす。

やれやれ、と男はオイルを手に取ると、彼女の白い背中に触れた。
円を描くように、全体にオイルを広げる…。
きれいに浮き出た肩甲骨周りに、くびれた腰。
丁寧にゆっくりと塗り込んでいく。
やがてその手はビキニの紐の下をくぐり、脇の下を通り過ぎる。
指先がほんの僅か、膨らみの端を撫でた。

「……………」

彼女は気づかない。

男は続けて腰骨の下にオイルを塗りこむ。
今度はふとももの裏側から、徐々に上に向かって際どいラインを親指が辿る。
少しずつ、少しずつビキニが上へとずり上がる。

ここへ来て、女の手がいたずらな男の手をつねった。

「何してるのよ、もう!」

女は体を起こす。
と………。

はらり。

「え!?きゃぁ!」

男の仕業だ。
結んでいたはずの項と背中の紐がほどけていた。
トップレスの女は慌ててうつ伏せに戻る。
その背中越し。
男は女に覆いかぶさると、耳元で囁く。

「誰も見ちゃいない。ここには俺とお前だけだ」

高く澄んだ夏の空と。
熱気をはらんだ風。
そして男からの誘惑。

女は体を反転させると、男の首に腕を回し、素肌だけの体を密着させた。

「土門さん…」

物欲しそうに強請る呼び声は、蜜のようだ。
その甘さを味わいたいと、唇と唇が重なり合う…。


「土門さん、土門さんたら!」
「さ、榊?」

はっと目を覚ました土門は、今の状況を把握できずに混乱した。

「まだ買うものがあるんだから。起きてちょうだい。さ、行くわよ!」

そうだ。
今日は新居に必要な家電をマリコと買いに来ているのだ。
どうやらマッサージチェアーにかかっているうちに眠ってしまったらしい。

プライベートビーチにチェアーの上で…とはいかないが、これから始まる二人の生活も同じくらい刺激的に違いない。

土門はビキニではなく、ワンピース姿のマリコを追いかけた。


(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」


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