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馴染みのカウンターに二人並んで腰かけていると、しきりに隣のマリコが耳に手をあてていた。

「耳、どうかしたのか?」
「ううん。何となく…、相馬くんどうしてるかなって」

「ああ」と土門は得心がいった。

「そういえば、ダイエット菌の事件以来か?」
「うん」
「お前、よくあいつの耳をひっぱっていたもんな」
「相馬くんは何だかやんちゃな弟みたいな感じがするのよね。だからついつい手が出てしまって。そのうち癖みたいになって、あの触り心地はやみつきね。最近はできなくて、つまらないわ」

土門にしてみれば弟のようだとはいえ、マリコが他の男の体に触るのは嬉しくない。

「だったら俺の耳でも触っとけ」
「えー、土門さんの耳はちょっと…。あ、そうだわ。オパール!」

呼ばれた看板猫がマリコの膝に飛び乗る。
ふわふわの三角耳は相馬のそれとは全く違うけれど、触り心地は一級品だ。

「ふふふ。気持ちいい♡」

オパールも目を細めて、うっとりマリコの手を堪能する。

(“ちょっと”って何だ!“ちょっと”って!!)
完全に臍を曲げた土門は、ちびちびとグラスを傾けることに専念する。

マリコはそんな恋人をおかしそうに眺めると、その耳元に囁いた。

「土門さんの耳は、触り心地より噛み心地がいいわ」

途端にでれっと頬が緩む土門。
しかし。

「うっ!?」

鳩尾に強烈な猫パンチ。

「ニャニャアー!(ニヤニヤしてんじゃねーよ)」

チコちゃん風に叱られた土門であった。


(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」


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