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元旦。
こんな日に働いているのは、誰だろう。
神職と、医療従事者と、大手スーパーの店員と、土門ら警察官ぐらいだろうか。それでも暇ならまだマシなのだろうが、逆にいつもより忙しいのだから、厄介だ。
初詣客がスリに遭ったり、朝から酒を飲んだ酔っぱらい同士の喧嘩、交通事故など、雑多な案件が次々に京都府警へ舞い込んでいた。

「まいったなぁ…」

土門は時計を確認すると、スマホを取り出し、ため息をはきながら手早くラインを送信した。
帰ってきたのは、スタンプ一つ。



「残念だけど、仕方ないわね」

マリコは土門からのラインに返事を送ると、一人で鳥居をくぐった。早く仕事が終われば、一緒に初詣に行こうと計画していたのだ。
しかしどうやらそれは無理らしい。
マリコはひとり参拝を終えると、お守りをもらって家路についた。

翌日は元旦とは逆に、マリコは仕事で、土門が非番となっていた。
土門は昨日行かれなかったからと、一人で神社に詣でた。おみくじを引く気にもならず、かといって手ぶらなのも何だか氏神に申し訳ない気がして、一つお守りをもらって帰った。
翌三日。
年が明けて初めて二人は屋上で顔を合わせた。

「おう。明けましておめでとう。元旦は悪かったな」
「明けましておめでとう、土門さん。仕事だったんだから仕方ないわよ」

そうだ、とマリコは白衣から白い紙包みを取り出した。

「はい、これ」
「なんだ?」
「お守りよ。土門さんにあげる」
「ありがとう。って、おい。これ……」

土門は中身を出して苦笑している。

「なに?」
「商売繁盛のお守りだぞ?刑事が商売繁盛ってのはどうなんだ?」
「え?そのお守り、商売繁盛だったの?」
「知らないで買ったのか?」
「ええ。赤くて可愛かったから」
「お前らしいというか…。でも、ありがとな。俺からもお返しだ」

土門も同じ紙包みをマリコへ渡した。
「土門さんも初詣へ行ったの?」
「昨日な」
「これは、厄除けのお守りね」
「お前は自分から危険に飛び込んでいくからな。持っておけ」
「……………」
「どうした?」
「これ、土門さんに返すわ」
「え?」
「だって、私には必要ないもの」
「榊?」
「私には守ってくれる不死身の守護神がいるから。お守りなんてなくても大丈夫」
「それは、もしかして俺のことか?」
「そう。だから、これは土門さんが持っていて」
「いいだろう。しかしそれには一つ、提案がある」
「何かしら?」
「守ってもらうために、お守りはいつも身につけているよな?」
「ええ、そうね」
「だとしたら、お前を厄災から守るためには、俺も常にお前のそばにいる必要がある」
「…なるほど。確かにそうだわ」
「と、いうことでだ。そろそろ一緒になるか、榊」
「えっと?」

飛躍した結論にマリコは思考が追いつかない。

「何か問題でもあるか?」

疑問に質問で押し切れば、マリコは「……ない、かも」と承諾してしまった。

「よし、決まりだな」

満足そうな土門に対して、マリコはやや不服そうだ。マリコといえど、やはりプロポーズは特別なものなのだろう。しかし土門は、そんなマリコの気持ちにもちゃんと気づいていた。

「一度しか言わんぞ。コホン。俺がお前を守ってやる。だから、俺のそばにいろ。一生な」
「………うん」

二人の体がびったりと寄り添う。
新年に、新たな門出を迎える二人を祝うように。
今日は温かな日差しが屋上を包んでいた。



(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」
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