thanks!《3》

スキ!を送りました
(コメントの返信は『Re:』ページをご覧ください)


「おめでとうございまーす!🎉」

クラッカーを打ち鳴らされた二人は訳がわからず、ただ呆然と立ち尽くしていた。

「お二人が当店1万人目のお客様でございます。ありがとうございまーす!」

ここは京都の外れにある養蜂場。昨今の健康ブームでハチミツとハチミツを利用した食品や化粧品などは人気が高い。この養蜂場も、昨年自社で採取したハチミツの加工品販売する店舗をオープンし、人気の観光スポットになっていた。

土門とマリコがやってきたのは、ハチミツを買うためではない。今追っている事件解決に、蜂のサンプルが必要となったからだ。

「あの、私達は蜂を…」
「さあ、記念イベントをご用意していますので、こちらへどうぞ」

「いや。自分らは仕事で…」
「ささ。こちらでーす!」

強引なスタッフに背中を押され、二人は別室へ連れて行かれた。

「こちらに着替えていただいて、記念撮影を行います。着替えがお済みになったら、外に出てきてくださいね」

それだけ説明すると、スタッフは次の準備のために慌ただしく戻ってしまった。


「これ………着るの?」
「これ………………着るのか?」

二人は顔を見合わせるが、外では着々と準備が進んでいるようで、人の動きが忙しない。

「キャンセルはできそうにないわね」
「ああ…」

わかりやすく落胆した二人だったが、着替えのため、カーテンで仕切られた空間へと入っていった。

「土門さん、着替えた?」
「ああ。お前は?」
「私も。でも、これ…」
「もう諦めろ。俺だって同じの着てるんだぞ。いいか、同時に出るぞ。せーの」

シャッと開いたカーテンから現れた二人。
歩くと頭につけた触覚のカチューシャがぼよよ〜んと揺れる。
そして黄色いボーダーのつなぎを着たそのお尻の部分には大きな膨らみが付いていた。よく見ると先端には小さなとんがり。

ミツバチコスプレの互いの姿を見て…。

『カワイイ♡』

などと同じ感想を持ったかは分からないが、恥ずかしそうに二人が外へ出ると、スタンパイしていた店のゆるキャラと記念撮影を行った。

「ありがとうございました。こちら記念品です」

スタッフからは今しがた撮影したフォトブックと紙袋を渡された。



目的の蜂を手に入れ、二人は帰りの車中にいた。

「恥ずかしかったけど、貴重な体験だったわね」
「貴重って、お前…」

相変わらずなマリコに土門は苦笑する。

「ところで紙袋の中身は何だ?」
「ええと…ハチミツボディーローションですって」
「ふーん」

赤信号で停車すると、土門は紙袋の中身を取り出した。

「乾燥肌に潤いを、ね。ん?」
「どうかした?」
「ほほう。こいつは、なかなかにいいな」
「土門さん?」
「このローション、『自然由来の原料を使用しているため、小さなお子様が口にしても問題ありません』だそうだ」

土門はニヤリと笑うと、信号を確認し車をスタートさせた。

「お前、最近肌が乾燥しやすいと悩んでいただろう?」
「え、ええ」
「よかったな。帰ったら俺がじっくり塗ってやる。後始末も任せておけ」

嬉しそうにハンドルを切る土門に、マリコは嫌な予感しかなかった。


後でわかったことだが、土門のスマホの待受画面はこの日以降ミツバチマリコになったらしい。
そしてボディローションは順調に量が減っているとかいないとか。

「甘いなぁ…」
「もう、ばかっ!」



(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」


22/27ページ
スキ