thanks!《3》
スキ!を送りました
(コメントの返信は『Re:』ページをご覧ください)
「あら!マリコさん、残念ね。それじゃあ、今年のクリスマスはシングルベルってこと?」
さっきまで一緒に食事をしていた早月に、マリコはそう指摘された。
いったい何のことか、きょとんとしているマリコに早月は説明してくれた。
クリスマスを一人=シングルで過ごすことを、昔は、ジングルベルをもじってシングルベルと揶揄ったのだという。
「仕事ですから、仕方ないです」
そのとき、マリコはただ笑ってそう返した。
こういう仕事をしていれば、クリスマスを一緒に過ごせることの方が少ないだろう。
現に土門は一昨日から滋賀での合同操作へ参加している。
昨日の電話の様子では、年内一杯は向こうにいることになりそうだと言っていた。
マリコはショーウィンドウに飾られたクリスマスツリーを横目に足を速める。
別に25日会えなくたっていい。
無事に帰ってきてくれさえすれば、それで。
信号待ちをしていると、隣の女性が電話をしていた。
聞くつもりはなかったけれど、漏れ聞こえる会話から相手は長距離恋愛中の恋人のようだった。
『クリスマスに会えないなら、今日会いたかった。今日は長距離恋愛の日なんだよ』
そんな日があることをマリコは初めて知った。
信号は青になり、女性とマリコすぐに雑踏に紛れ、彼女の会話の行方はわからない。
長距離恋愛の彼女に比べれば、自分は恵まれている。
あと数日会えないくらい、何ともない。
マリコは自分にそう言い聞かせ、その日は土門に電話をすることもなくベッドに潜り込んだのだった。
そして翌日、翌々日と土門からは音沙汰ない。
忙しいのだろうと、マリコも自分から連絡することは控えた。
もう3日、ラインすら交換していなかった。
そしてクリスマスイブの夜、遅くまで残って鑑定を続けていたマリコのスマホが鳴った。
相手を確かめると、マリコは慌てて通話ボタンを押した。
「もしもし、土門さん」
強がっていても嬉しくて、マリコの声は上ずっていた。
ところが土門の声は不機嫌そのものだった。
『お前、どこにいるんだ』
「科捜研よ」
『仕事か?』
「ええ」
『まだ終わらないのか?』
「そうね…あと1時間くらい」
『………………』
ため息がスマホの向こうから聞こえた。
『今、京都にいる』
「え!」
『朝イチの捜査会議までには戻らないといけないから、数時間しかないんだが。飯ぐらい食べないか?』
「もしかしてそのために戻ってきてくれたの?」
『もしかしなくてもそうだ。洒落た店は予約で一杯だろうから、いつもと同じような食事になっちまうがな』
「この鑑定結果が出たらすぐに行くから、どこかお店で……」
そこまで言ったとき、ガチャリと鑑定室の扉が開いた。
「え?」
「曇りガラスにしていたから気づかなかったんだろう?」
笑いながら立っているのは、マリコが焦がれた人。
「どうして…」
「家に行ったら電気がついていなかったからな。ここしかないだろう?食い物とケーキを買ってきたぞ。色気もないが、ここでディナーと…おっと!」
マリコは両手に荷物を下げたままの土門に飛びついた。
「会いたかった」
その素直な一言を聞けただけで、土門はこれまでの疲れが吹き飛んだ。
「俺もだ。連絡もできなくてすまなかったな」
「ううん。いいの。だって、すごいサプライズプレゼントをもらったもの」
「それじゃあ、お返しを楽しみにしておくかな……」
ニヤリと笑うはずが、土門は驚きに固まる。
「大好き。土門さん!」
告白とキスと。
最強コンビの返礼に、土門がケーキの箱を落としてしまったとしても…。
主よ。どうか今夜はお許しください。
アーメン。
(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」
(コメントの返信は『Re:』ページをご覧ください)
「あら!マリコさん、残念ね。それじゃあ、今年のクリスマスはシングルベルってこと?」
さっきまで一緒に食事をしていた早月に、マリコはそう指摘された。
いったい何のことか、きょとんとしているマリコに早月は説明してくれた。
クリスマスを一人=シングルで過ごすことを、昔は、ジングルベルをもじってシングルベルと揶揄ったのだという。
「仕事ですから、仕方ないです」
そのとき、マリコはただ笑ってそう返した。
こういう仕事をしていれば、クリスマスを一緒に過ごせることの方が少ないだろう。
現に土門は一昨日から滋賀での合同操作へ参加している。
昨日の電話の様子では、年内一杯は向こうにいることになりそうだと言っていた。
マリコはショーウィンドウに飾られたクリスマスツリーを横目に足を速める。
別に25日会えなくたっていい。
無事に帰ってきてくれさえすれば、それで。
信号待ちをしていると、隣の女性が電話をしていた。
聞くつもりはなかったけれど、漏れ聞こえる会話から相手は長距離恋愛中の恋人のようだった。
『クリスマスに会えないなら、今日会いたかった。今日は長距離恋愛の日なんだよ』
そんな日があることをマリコは初めて知った。
信号は青になり、女性とマリコすぐに雑踏に紛れ、彼女の会話の行方はわからない。
長距離恋愛の彼女に比べれば、自分は恵まれている。
あと数日会えないくらい、何ともない。
マリコは自分にそう言い聞かせ、その日は土門に電話をすることもなくベッドに潜り込んだのだった。
そして翌日、翌々日と土門からは音沙汰ない。
忙しいのだろうと、マリコも自分から連絡することは控えた。
もう3日、ラインすら交換していなかった。
そしてクリスマスイブの夜、遅くまで残って鑑定を続けていたマリコのスマホが鳴った。
相手を確かめると、マリコは慌てて通話ボタンを押した。
「もしもし、土門さん」
強がっていても嬉しくて、マリコの声は上ずっていた。
ところが土門の声は不機嫌そのものだった。
『お前、どこにいるんだ』
「科捜研よ」
『仕事か?』
「ええ」
『まだ終わらないのか?』
「そうね…あと1時間くらい」
『………………』
ため息がスマホの向こうから聞こえた。
『今、京都にいる』
「え!」
『朝イチの捜査会議までには戻らないといけないから、数時間しかないんだが。飯ぐらい食べないか?』
「もしかしてそのために戻ってきてくれたの?」
『もしかしなくてもそうだ。洒落た店は予約で一杯だろうから、いつもと同じような食事になっちまうがな』
「この鑑定結果が出たらすぐに行くから、どこかお店で……」
そこまで言ったとき、ガチャリと鑑定室の扉が開いた。
「え?」
「曇りガラスにしていたから気づかなかったんだろう?」
笑いながら立っているのは、マリコが焦がれた人。
「どうして…」
「家に行ったら電気がついていなかったからな。ここしかないだろう?食い物とケーキを買ってきたぞ。色気もないが、ここでディナーと…おっと!」
マリコは両手に荷物を下げたままの土門に飛びついた。
「会いたかった」
その素直な一言を聞けただけで、土門はこれまでの疲れが吹き飛んだ。
「俺もだ。連絡もできなくてすまなかったな」
「ううん。いいの。だって、すごいサプライズプレゼントをもらったもの」
「それじゃあ、お返しを楽しみにしておくかな……」
ニヤリと笑うはずが、土門は驚きに固まる。
「大好き。土門さん!」
告白とキスと。
最強コンビの返礼に、土門がケーキの箱を落としてしまったとしても…。
主よ。どうか今夜はお許しください。
アーメン。
(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」