200番さまへ




――― ふにっ。
「きゃっ!」
驚いてマリコが振り返る。
背後から手を伸ばしていたのは、土門だった。

――― ふに、ふに、ふにっ。
「ち、ちょっと土門さん!どこ触ってるの?」

「柔らかくて触り心地がいいな…欲をいえば、もう少しボリュームが欲しいとこだな」
「なっ!余計なお世話よ!」
マリコは真っ赤になって、土門を睨む。
しかし土門はいっこうに気にせず、尚もふにふにと揉み続ける。

「誰かに見られたら…」
「別にいいだろう?」
「嫌よ…恥ずかしいもの」
「それなら、声は出さないことだな」
そういい放つと、土門は再びそこへ手を伸ばす。


「……二の腕の振り袖が、胸の感触に近いって話は案外本当かもな?」
感心したように、マリコの白い二の腕を優しく揉みしだく。

「だとしても!土門さん…手つきがいやらしいわよ?」
「お前、何を想像してる?」
「?」
「へんな想像してるお前のほうが嫌らしいな」
「もぉ!」
ニヤリと笑う土門に、マリコは赤い顔でむくれた。


果たして。
このあと、土門が本物で確認できたかどうかは……謎としておこう。



fin.



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