『密着!どもマリ24時』(マリキャン編)

in the tent




テントの中では、少々問題が勃発していた。

「待って!土門さん。私たち、し、仕事で来てるのよ!」

「仕事ならもう終わっただろう?」

土門は逃げるマリコを追い詰める。

「そ、それにもし誰かに見られたら…」

「ランタンを消せば、真っ暗闇だ」

「で、でも!その、音とか、こ、声とか……」

言っているマリコ自身が、羞恥で赤くなる。

「榊、耳を澄ませてみろ」

言われたとおりにすると、外は決して静寂ではなかった。
虫の鳴き声はけたたましく、夜行性の鳥の鳴き声や、遠くの獣の遠吠えも聞こえる。

「わかっただろう?誰も気づいたりしないさ」

そういうと、土門はマリコに唇を重ねた。
しかしそれ以上深追いすることはなく、ちろりとのぞかせた舌で、マリコの唇をゆっくりと時間をかけてなぞっていく。
上も下も。
口唇紋の一つ一つを確かめるような丁寧な動き。
周囲を一周すると、土門の舌は“くちっ”と音を立て、マリコの唇をこじ開けた。

わずかに開いた口内に舌が侵入し、ぬるりと歯列を撫でると、出ていく。
それを何度か繰り返されるうちに、マリコの脳は別の記憶と感覚を思い起こさせた。

閉じられた隙間の中は、生温かく、ぬめっている。
そこに繰り返し入っては出ていく何か。
そして、体中がとろけるような独特の音。

いつの間にかマリコの瞳は潤み、全身から力が抜けていた。

そんなマリコを、土門はコットに寝かせた。

「ど、も、ん、さん?」

「すまん。イタズラが過ぎたな」

「え?」

「お前と二人で外泊なんて、久しぶりだろう?おまけに野外の開放感もあって…その、はめを外しすぎた」

土門はバツが悪そうに横を向き、ボソボソとしゃべる。

「本当は嫌だろう?」

薄明かりの中で、マリコには土門の体の変化がはっきりと見えた。
それでも、土門はマリコの気持ちを優先させてくれようとしているのだ。

ーーーーー 大切にされている。

マリコは胸の奥が切なくなった。

「土門さん!」

コットから起き上がったマリコは、土門の首に抱きついた。

「おいっ!」

「ねえ、明日は休める?」

「榊?」

「キャンプ道具を片付けたら、土門さんの家に帰っていいかしら?」

「構わんが…」

土門は思いがけないマリコの提案に目を丸くしつつ、それでも嬉しそうに笑う。

「帰ったら、早速たこ焼きパーティーでもするか?」

おどける土門に、マリコは首を振った。

「榊?」

「たこ焼きよりも、土門さんが食べたいわ」

「○☓♂△□♀♠!?」


ーーーーー 南無三なむさん

土門の下半身は、今世紀最大の危機を迎えようとしていた…。



fin.


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