『密着!どもマリ24時』(マリキャン編)
at the auto campsite ①
「榊、そっちの端からポールを通してくれ」
「ポール…ってこれ?」
「いや。向こうの長いほうだ。そう、そいつだ。それを引っ張って伸ばしてくれ」
「引っ張って、伸ばす…?」
ポールを手に持ったまま固まってしまったマリコに、土門はため息をついた。
「本当に科学以外には疎いな」
土門はマリコの背後に回ると、背中越しに腕を伸ばした。
マリコの手を支えるようにしながら、ポールの伸ばし方を教えた。
「こうして接続部分をはめていくんだ」
「へぇ。よく考えられてるわね」
「感心してないで、このポールを穴に通して……と」
少し力のいる作業のため、土門はいっそうマリコに覆いかぶさるようにして、ぐっとポールを押し込んだ。
「よし、これでテントはあら方出来上がったな」
「凄いわ、土門さん!」
「ん?お前も手伝ってくれたからな」
ここはとあるオートキャンプ場。
土門とマリコは、大自然を満喫しようとキャンプにやってきた……訳ではない。
実は今日、このキャンプ場のどこかで薬物の取引があると府警にタレコミがあったのだ。
捜査一課とソタイは協力し、売人グループの摘発に乗り出した。
そこで、土門とマリコはキャンパーに扮し、売人を見つけ出すことになったのだ。
「次はどうするの?」
「テントが飛ばないように、ペグを打って固定しよう。榊、ハンマーを持ってきてくれ」
「ええ」
マリコが道具箱に向かう間に、土門は地面にペグを差し込んだ。
「お待たせ」
「おう」
「これを打ち込むの?」
「ん?そうだ」
「……………」
目は口ほどにものを言う。
「もしかして……やってみたいのか?」
「……………」
キラキラとした瞳に逆らえるわけもなく、土門はマリコの手にハンマーを握らせた。
「地面が固いからな。無理するなよ」
「大丈夫!」
何度かハンマーを振り下ろすと、ペグは少しずつ地面に沈んでいく。
しかし半分を過ぎると、それ以上は動かなくなってしまった。
「これ以上はお前一人の力じゃ無理だな」
土門はマリコの手を包むと、一緒にペグを打っていく。
土門の力が加わったことで、あっという間にペグは最後まで地面に埋まった。
この調子で、二人はテントの固定を終えた。
「これで、よし」
二人は無事に共同作業を仕上げ、満足げに微笑み合っている。
「あの、蒲原刑事。これは売人を見つけ出すためのお芝居…でしたよね?」
「ええ。その…はず……で、す」
離れた場所から双眼鏡で様子を見ていたソタイの刑事の疑問に、蒲原の答えは歯切れが悪い。
なぜなら。
どう見ても、休日の恋人キャンパーにしか見えないのだ。
本人たちは気づいていないのだろうが、何かといっては密着し、イチャイチャした挙げ句に、顔を見合わせて笑い合う。
もう、恋人でなくて何だというのか。
見ているこちらが照れるくらいだと、蒲原も感じていた。
死んでも土門には言えないが…。
「榊、そっちの端からポールを通してくれ」
「ポール…ってこれ?」
「いや。向こうの長いほうだ。そう、そいつだ。それを引っ張って伸ばしてくれ」
「引っ張って、伸ばす…?」
ポールを手に持ったまま固まってしまったマリコに、土門はため息をついた。
「本当に科学以外には疎いな」
土門はマリコの背後に回ると、背中越しに腕を伸ばした。
マリコの手を支えるようにしながら、ポールの伸ばし方を教えた。
「こうして接続部分をはめていくんだ」
「へぇ。よく考えられてるわね」
「感心してないで、このポールを穴に通して……と」
少し力のいる作業のため、土門はいっそうマリコに覆いかぶさるようにして、ぐっとポールを押し込んだ。
「よし、これでテントはあら方出来上がったな」
「凄いわ、土門さん!」
「ん?お前も手伝ってくれたからな」
ここはとあるオートキャンプ場。
土門とマリコは、大自然を満喫しようとキャンプにやってきた……訳ではない。
実は今日、このキャンプ場のどこかで薬物の取引があると府警にタレコミがあったのだ。
捜査一課とソタイは協力し、売人グループの摘発に乗り出した。
そこで、土門とマリコはキャンパーに扮し、売人を見つけ出すことになったのだ。
「次はどうするの?」
「テントが飛ばないように、ペグを打って固定しよう。榊、ハンマーを持ってきてくれ」
「ええ」
マリコが道具箱に向かう間に、土門は地面にペグを差し込んだ。
「お待たせ」
「おう」
「これを打ち込むの?」
「ん?そうだ」
「……………」
目は口ほどにものを言う。
「もしかして……やってみたいのか?」
「……………」
キラキラとした瞳に逆らえるわけもなく、土門はマリコの手にハンマーを握らせた。
「地面が固いからな。無理するなよ」
「大丈夫!」
何度かハンマーを振り下ろすと、ペグは少しずつ地面に沈んでいく。
しかし半分を過ぎると、それ以上は動かなくなってしまった。
「これ以上はお前一人の力じゃ無理だな」
土門はマリコの手を包むと、一緒にペグを打っていく。
土門の力が加わったことで、あっという間にペグは最後まで地面に埋まった。
この調子で、二人はテントの固定を終えた。
「これで、よし」
二人は無事に共同作業を仕上げ、満足げに微笑み合っている。
「あの、蒲原刑事。これは売人を見つけ出すためのお芝居…でしたよね?」
「ええ。その…はず……で、す」
離れた場所から双眼鏡で様子を見ていたソタイの刑事の疑問に、蒲原の答えは歯切れが悪い。
なぜなら。
どう見ても、休日の恋人キャンパーにしか見えないのだ。
本人たちは気づいていないのだろうが、何かといっては密着し、イチャイチャした挙げ句に、顔を見合わせて笑い合う。
もう、恋人でなくて何だというのか。
見ているこちらが照れるくらいだと、蒲原も感じていた。
死んでも土門には言えないが…。
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