旅路



屋上ここは何時も変わらない。
同じ薫り、同じ風。

それでも。
目には見えずとも何かが、何処かが少しずつ変わっているのかもしれない。

それが時の流れというものだろう。

マリコは見慣れた町並みに目を向けた。


果てしなく続くだろうと思っていたものは、もうすぐ無くなってしまうけれど。
これまで目にしてきたこと、手に触れてきたもの、全てに意味はある。

私たちは先の長い人生たびの途中にいる。
その道のりには、誰かを愛したり、何かを忘れたり、色々あると思う。

友情。尊敬。嫉妬。そして…。
これからも色んな愛の形を受け取って。
私からもあなたに返していく。

永久とわなる光の中。
私も愛するでしょう。
あなたと、あなたの愛するもの、全てを。

「なあに、土門さん」


2/3ページ
スキ