「土門さん、ごめんなさい…」

まるで耳の垂れたウサギのように、マリコは“しゅん”と落ち込む。

この日、マリコは土門の部屋を訪れていたのだが、うっかりワンピースにコーヒーを零してしまったのだ。そのワンピースは土門からプレゼントされたもので、マリコはとても気に入っていたためひどく気落ちした。

しかしそれよりも火傷を心配した土門は、マリコにワンピースを脱ぐように言い、ひとまず手近にあった自分のシャツを渡した。

大きな茶色いシミのできてしまったワンピースを前に、マリコは再び謝るが、土門は無言でマリコを凝視するばかり。

「怒ってる…わよね？」

恐る恐るたずねるマリコに、土門は目を逸らす。

「怒ってはいない。どっちかと言うと、困っている…」

そういうと、土門は改めてマリコに目を向けた。

オーバーサイズのシャツの襟ぐりからはくっきりとした芸術作品のような鎖骨と、チラッチラッと下着の白い肩紐が覗いている。そして泣きそうな目をこする手は、袖口から半分ほどしか見えない。
所謂『彼シャツ』の威力は土門をとことん追い詰める。

「困る？」

一方、訳がわからないマリコは、きょとんとした表情で首をかしげる。するとシャツの片側の裾が持ち上がり、すべすべとした太ももがさらに露になった。
その瞬間、土門の頭の中でブチッと何かが切れる音がした。

「お前、色っぽすぎるだろう！俺の理性も、もう限界だ！」

そういうと、土門はマリコをベッドに追い詰め、シャツの上から組み伏せる。

ぅぅん、やだぁ…
む、むりぃ……
だめ、だめぇ！

艶めく声で泣きじゃくる愛らしい白ウサギは、狼に余すところなく食べられてしまいましたとさ…(￣∇￣)ﾆﾔﾘ



fin.