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初めて美貴以外の女を自宅に入れた。
初めて土門さんの家にお邪魔した。

これから始まるのは、初めてづくしの夜。

女を抱くのは初めてじゃない。
抱かれるのは初めてじゃない。

でも。
こんなに余裕がないのは。
こんなに緊張するのは。
初めてかもしれない。

土門は、マリコの両頬を優しく包み込み、引き寄せた。
恥ずかしそうにうつむくマリコ。

土門がそっと口づけると、今度はマリコが手の伸ばし、土門の頬に触れた。そして。

「この先も教えて」

こんな夜の続きを、マリコは知らないから。


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