恋路





宇佐見は眼鏡の隅で、PC画面に新着メールが届いたことに気づいた。
分析に走らせていたプログラムを中断し、メーラーを立ち上げる。

送信元を確認して、「おや?」と小さく首を傾げた。
そこに表示されていたのは、風丘早月という名前。
これまでメールが届いた記憶はほとんどなかった。

送信先を間違えたのだろうか?
いずれにしても、念の為中身は確認したほうがいいだろう。

宇佐見は新着メールを開いた。

中身はマリコから依頼された鑑定結果と、その補足説明だったが、書き出しは『宇佐見様』で始まっていた。

そして最後に数行の空白の後、追伸という文字が見えた。

『明後日、花灯路へ行きませんか?』

それが宇佐見にメールが届いた一番の理由だろう。



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