中国茶寮oneでの出来事(番外編)
そして、週末。
王が運転するマセラティの助手席にはマリコが座っている。
事件に協力する対価として、王が要求したデート。
それが、この日だった。
昼に合流した二人は、王の予約した店でランチをとると、通りに立ち並ぶ高級店の一つに足を踏み入れた。
そこは、瀟洒なジュエリーショップだ。
ショーケースを一つ一つ眺めて歩くマリコに、王はピタリと並ぶ。
「マリコさん、これなんてどうですか?」
足を止めた王が指差したのは、S字カーブに並んだダイヤの下に小さなパールが一粒あしらわれたネックレスだ。
「素敵ですね!」
「ぜひ、お試しください」
店員が、ケースから取り出したネックレスをマリコの首に乗せる。
照明を反射してダイヤがキラキラと光り、いっそうマリコを華やかに彩る。
「とてもお似合いですよ」
「本当だ。これにしましょう」
王が満足そうに言うと、マリコも素直に頷いた。
そしてラッピングされたネックレスを手に、二人は茶寮oneへと戻った。