歩道橋を歩いていると、数人の下校途中の小学生とすれ違った。

追いかけっこをしているのだろうか。
足の速い少年は、遅い少女をからかうように後ろ向きで笑いながら走る。
ここが歩道橋でなければ特に何とも思わない光景だろう。

しかし、予想通りと言おうか。

少年は階段の一歩目を踏み外しそうになる。
辛うじてバランスを取ろうとするが、背中のランドセルが仇となった。
その重みに引っ張られ、少年は後ろ向きに落下していく。

「危ない！」

伸びたスーツの腕が間一髪。
少年の体を捕まえた。
そして“ぐいっ”と引き戻された少年と入れ替わるように。
一人の大人が真ん中の踊り場まで、階段を転げ落ちていく。

呆然とする少年に、泣き叫ぶ少女。
やがて遠くで救急車のサイレンが聞こえた。



病院のベッドで目を覚ましたとき……。