檸檬爆弾
「まいどー」
「いらっしゃい」
「今日のおやつは…………」
もはや科捜研ではおなじみとなった光景。
はしゃぐ呂太が、お持たせを開けようとセンターテーブル上の書類を肘で脇に寄せ、スペースを確保する。
端に載っていた数枚の紙が宙を舞い、ちょうどシュレッダーいきの箱の中にはらりと落ちた。
誰もがお持たせと会話に夢中で、紙が落ちたことには気づかない。
実はその紙と紙の間に、一通の封書が挟まっていた。
それは先程、総務課から届いた手紙であり、未開封のままだった。
宛名は榊マリコ。
しかしこの手紙はマリコに読まれることなく、散り散りになる運命をたどる。
このことが、後に大きな事件へと発展していく。
そのため、ここではこの手紙の内容を少しだけご紹介しておこう。
『榊マリコ様。
突然このようなお手紙を差し上げる失礼をお許しください。
僕は………。
先日、榊さんのインタービュー記事を拝見し………。
いつかは僕も科捜研へ入所し、榊さんと一緒に働くことを………。
ですが………。
一度お会いして、お話を聞かせていただけないでしょうか?
どうか………』