ニューヨークからの客人
「失礼します」
翌日、土門は科捜研を訪れた。
喧嘩別れのようになってしまったマリコのことが気になったからだ。
今朝から姿が見えない上に、屋上へ誘うラインにも既読がつかない。
「土門さん、いらっしゃい」
「宇佐見さん、あの……榊は?」
「え?マリコさんなら、相馬くんと一緒に空港ですよ」
「空港?」
「ええ。例の相馬くんの彼女を見送りに」
「そう、ですか……」
「土門さん?」
「あ、いえ。わかりました。ありがとうございます」
土門は何か考え込んだような足取りで戻っていく。
「鑑定依頼…ではなかったんですね」
宇佐見は苦笑しつつ、その後ろ姿を見送った。
一方、土門の足は自然と駐車場へ向かう。
その車が目指す先は、もちろん…。