マリコが待ち合わせ場所に到着すると、すでに土門は来ていた。

「土門さん!」

「おう」

「待った?」

「いや、大丈夫だ」

「寒いわねぇ」

マリコは笑顔だが、吐く息は白い。

「ほら」

「なあに?」

「手、貸せ。どうせ氷みたいにキンキンなんだろう?」

マリコの手から荷物を奪うと、土門はそのままその手を自分のコートのポケットへ突っ込んだ。

思った通り。
温かかった土門の体温さえ奪うほどに、マリコの指先は冷たい。

「………かい」

「なんだ?」

「……あったかぁい」

そういって、ほわっと微笑むマリコが可愛いすぎて。

「……………」

不意打ちを食らった土門は、思いっきり赤面した。



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