新・チャレンジ企画





府警への帰り道。
近頃の猛暑の影響か、車内はエアコンを掛けていても暑い。
乾いた喉を潤すために、二人はコンビニに寄り道した。



「おい、これ」

「なあに?」

車に戻ると、袋を渡された。
マリコが中をのぞくと、カップアイスが1つ入っていた。

「おいしそう!」

「食べるか?」

「いいの?」

「ああ。ただし俺は運転中だから、食べさせてくれ」

「しょうが……ないわね。スプーンも1つしか入ってないし」

「一口ずつ交代な?」

「はい、はい」

マリコは蓋を開けると、買い主の顔をたて、すくったアイスを土門の口に入れた。

「ん!うまい」

マリコも一口食べてみる。

「冷たい!」

「でも、うまいだろ?」

「ええ」

「もう一口くれ」

口を開けてねだる土門が可笑しくて、マリコは吹き出してしまう。

土門にアイスを与え、自分も食べる。
けれど、段々と一口ずつは面倒に感じてきた。

「ねえ、先に少し食べてもいい?残りは土門さんにあげるから」

「いいぞ」

マリコは嬉しそうに、少しずつアイスを堪能する。
しかし、今度は土門が焦れ始めた。

「おい、まだか?俺にもくれ!」

マリコは1つしかない、スプーンを見つめる。

「一口ずつ交代しなくてもいいように、今度から2つ貰いましょう」


ちょうど信号が赤に変わった。
ブレーキを踏んだ土門は、隣のマリコをみる。
その唇の端には、白いアイスクリームの残骸が残っていた。

「わかった。今度からはそうしよう。でも今は、早く食べたいんだ」

「分かったわ。待っ……!?」

くいっと顎を引かれ、マリコは唇を丹念に舐めとられた。

「……うまいな」

したり顔で土門は笑う。

「俺はスプーンがなければ、これで構わんぞ?」

「……もう!!!」

「それはアイスの名前だろう?」

爆笑する土門。
マリコの手にあるカップアイスは、MOWのバニラ味。




fin.



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